東芝とRevorf 量子技術から得た量子インスパイアード最適化「SQBM+」による新薬創出で戦略的に提携し事業開始

株式会社Revorfと東芝デジタルソリューションズ株式会社は、必要なときにタンパク質が適宜機能を発揮するように調節因子によって制御されるアロステリック制御を活用した創薬分野において、従来は創薬困難なタンパク質もターゲットとしたIT創薬ソリューションの提供へ向けた戦略提携契約を締結した。また、提携に伴い、東芝デジタルソリューションズはRevorfに出資を行なった。

この提携に基づき、両社は、Revorfが有する生体情報の高度計算処理技術、および創薬分野の専門家によるデータ分析力と、東芝デジタルソリューションズの量子インスパイア―ド最適化ソリューション「SQBM+」を組み合わせ、量子インスパイアード技術を用いたIT創薬ソリューションを共同開発し、製薬企業に提供していく。

両社は2022年6月、「SQBM+」を活用して、タンパク質のアロステリック制御(タンパク質に機能的多様性をもたらす立体構造や活性を特異的に調節する機構)の予測を高精度に行う技術を開発し、計算創薬への適用性を検証した。
その後、両社は予測精度を高める共同研究を進め、さらに、試験管や培養器内で生体内を模倣した環境を人工的に作り実験を行う「in vitro」(イン・ビトロ)実験で実証を行った結果、実用化の目処が立った。
またこの技術に対する市場からの期待も確認できたことから、今回、戦略的提携に合意し、アロステリック創薬分野において連携および協業を開始するにいたった。

左から Revorf 取締役COO 木村 圭一氏、Revorf 代表取締役 末田 伸一氏、東芝デジタルソリューションズ 取締役常務 月野 浩氏、東芝デジタルソリューションズ ICTソリューション事業部 データ事業推進部 ゼネラルマネジャー 矢崎 貴久氏

今後、RevorfはSQBM+によって可能になったアロステリック制御予測技術を、製薬会社への創薬支援や共同研究に適用することを計画している。東芝デジタルソリューションズは、SQBM+を中心として創薬プロセスのさらなる効率化を実現し、Revorfの事業の価値を高める技術を戦略的に提供していく考えだ。

両社はこれまで、アロステリック制御の予測をSQBM+で解く量子計算アルゴリズムを共同で開発してきた。今回の提携を通じて、新たなIT創薬ソリューションの開発を加速し、創薬分野における社会問題の解決に貢献していくとしている。


量子インスパイアード最適化ソリューションとは

「量子インスパイアード最適化ソリューション」とは、量子コンピュータから得た研究時の着想を基にして、現在のコンピューターで量子現象の振る舞いを模倣し、複雑な計算も高速に処理できるコンピューティング技術のこと。その技術のひとつに東芝が開発したイジングマシン「SQBM+」がある。シミュレーテッド分岐アルゴリズム(SBアルゴリズム)を用いて「シミュレーテッド分岐マシン(Simulated Bifurcation Machine:SBM)」を核とする技術。

■【東芝】シミュレーテッド分岐マシン(TM) (技術概要編)

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