次のマテハン自動化の狙い目は自動フォークリフトか 後付け自動化や遠隔操作機も登場【国際物流総合展2024】
■ますますロボット活用が進む物流現場
■「国際物流総合展2024」には各社が自動フォークリフトを出展
■自動フォークリフトは最適化ソリューションとセットで
■レガシーなフォークリフトの「後付け自動化」も可能
■しばらくは使いこなしが必要
■物流ソリューションでのロボット活用は今後ますます盛んに
■ますますロボット活用が進む物流現場
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2024年9月10日(火)~13日(金) の日程で、東京ビッグサイトで「第16回 国際物流総合展 Logis-Tech Tokyo 2024」が開催された。ここ最近の通例だが、ソーターや3Dの自動倉庫、各種AMRや、有力ロボットスタートアップであるMujinのロボットなどはすっかりおなじみとなり、「ほぼロボット展」のような様相となっていた。ロボットは今や物流を効率化するマテリアルハンドリング(マテハン)のソリューションの一つとなっている。
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■「国際物流総合展2024」には各社が自動フォークリフトを出展
今回の国際物流総合展で、もっとも目立ったのは「自動フォークリフト(AFL)」である。トヨタL&Fや三菱ロジスネクストを筆頭に、ギークプラスやハクオウロボティクス、AGILOXやVisionNav Robotics、HIKROBOT、MultiwayRobotics、AiTEN Roboticsそのほか海外メーカーも含めて、非常に多くの会社が、自動化された無人フォークリフトを出展していた。
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本誌で以前紹介したラピュタロボティクスも、自動フォークリフトとトラック荷台と組み合わせたデモを出展し、動くたびに多くの人が詰めかけていた。
改めて説明すると、フォークリフトとは車体前方に突き出した2本の爪と上下に移動するマストを使って重量物を運ぶ荷役運搬車である。主に、爪を使うための差し込み口を持つ「パレット」と呼ばれる荷物を積むための台を運び、トラックへの荷積や荷下ろしなどに用いられている。
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フォークリフトには用途に応じて様々な形状のものがあるが、最大積載量の違いにもとづく2種類の免許で扱うことができる。逆にいうと、登録教育機関で労働安全衛生法で定められた「運転技能講習」を受けた技能者でなければフォークリフトを扱うことはできない。
免許習得の難易度は高くない。だがフォークリフトを使う仕事は様々な現場で常に求められている。物流現場は慢性的に人手不足であり、特に豊富な実務経験を持つ熟練者は引っ張りだことなっている。時間外労働の制限もある。特に夜間作業となると人が集まりにくい。そこで、自動フォークリフトの出番というわけだ。なかには人との共存を重視した機種もある。
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■自動フォークリフトは最適化ソリューションとセットで
ただし自動フォークリフトは高価であり、しかも遅い。残念ながら「高くて遅い」のである。自己位置推定には床の磁気テープを使った磁気誘導や、壁や天井にマーカーや反射板を貼るリフレクタ方式、マーカー類が必要ないLiDARを使ったSLAM方式、さらには設備側にもカメラを設置して頑健性を上げるなどなど、様々な方式があるものの、とにかくどの方式で動かしても、人の操作するフォークリフトよりも、はるかに遅い。だが、無人で動ける。なかなか悩ましい機材である。
そのため、導入と使いこなしには工夫が必要になる。単体の単純な速度比較では大幅に人に劣るので、夜間や人が休憩中の運用や前後工程との繋ぎ込みなどを考えて、あくまで「全体最適化を実現するソリューションのためのツールの一つ」として自動フォークリフトを提案できるところであれば顧客にアピールできることになる。
たとえば大王製紙のグループ会社・ダイオーエンジニアリングのブースでは、フランスBALYO製の自動フォークリフトがデモされていた。大王グループの物流を担うダイオーロジスティクス株式会社の24時間稼働の工場併設物流センターには、この自動フォークリフトが7台導入されているという。
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WMSや各種設備との連携など、システムインテグレーションのコンサルを行ったのはGROUND。今後はダイオーエンジニアリングに対してGROUNDの物流施設内の可視化・最適化システム「GWES」を展開していきたいという。
今回、PicoCELAの広域メッシュWi-Fiもアピールされていた。ダイオーロジスティクスへの現場導入の際は全て有線で工事を行なったが、有線の工事は現場調整が非常に難しい。GROUNDのプロダクトセールス部長 平野一将氏は「PicoCELAを使うと高所作業を伴う現場調整の工事が最小化される。今後のネットワーク対応がコストと導入の敷居がぐっと低くなるのではないか」と期待を示した。
■レガシーなフォークリフトの「後付け自動化」も可能
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レガシーな建機向けに後付けの遠隔操作技術を提供しているARAVも、今回、自動フォークリフトを出展した。従来から使われているリーチ式フォークリフトに遠隔化アクチュエーションユニットを後付し、自動化したものだ。もちろん自動運用だけではなく、手動でも動かすことができる。
■しばらくは使いこなしが必要
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日通とNECは共創プロジェクトとして「テレロボパイロット」という技術を出展し、フォークリフトの遠隔操作をデモしていた。デモ自体は非常に単純なものだったが、それでも多くの来場者が注目していた。なお日通は今回、WHILLとの共同研究の様子も披露するなど、多様な働き方への模索の様子を紹介していた。
フォークの話に戻すが、フォーチューンは2024年9月に、世界の自動フォークリフト市場規模のCAGR(年平均成長率)は8.3%だったとリリースを出している。まだまだ普及率は低く、使いこなし方次第では伸びる余地は大きい。
ただ、気になる点はやはり速度だ。使いこなし方次第では力を発揮できるとは言っても、できればあまり考えなくても、あるいは最適化ツールなどを使わなくても、現場にパッと入れたら即戦力となることが望ましい。
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自動フォークリフトの課題の一つ「高コスト」の一因であるセンサーや計算機の価格は、徐々に下がるだろう。では速度はどうなのだろうか。各ブースで担当者たちに聞いてみたが、みな一様に「難しいのではないか」という答えだった。実際問題、手動機と同じ速度で自動機を走り回らせることは安全面から考えても現実的ではないということのようだ。将来はやはり、人と完全に分離して扱うことになるのだろう。しばらくは使いこなしの知恵が必要になりそうだ。
■物流ソリューションでのロボット活用は今後ますます盛んに
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今回は自動フォークリフトに重きを置いて紹介したが、物流ソリューションへのロボット活用はもちろんこれだけではない。世界的かつ慢性的な人手不足を後押しとして、以前から進められている様々なマテハン機器の自動化、データ活用、その手足となって実際の作業をする機械としてのロボット活用は今後ますます盛んになるだろう。
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特に今後の注目はマニピュレーション、ハンドリング、要するに指先、手先の作業だ。技術的にもハードルが高いが、今の人間にしかできない「手作業」が自動化できるようになれば、その効果は大きい。
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森山 和道フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!