NECは、小型で幅広い用途に使用できる顔認証と虹彩認証を併用した「マルチモーダル生体認証技術」を開発しました。この技術によって、既存のPCやタブレット端末にカメラモジュールを接続するだけで「数千万人規模の認証」を屋内外問わず、高速かつ高精度に実現できる、としています。
NECの生体認証は世界No.1の技術
従来から、NECの顔認証技術は世界的にトップレベルで、非常に高い評価を得ています。既に空港などでも実用化されているほか、多人数にも対応していて、立ち止まらずに1分間に100人を認証できるとしています。関連記事「「立ち止まらずに1分間に100人をリアルタイム認証」NECがグローバルで販売開始 入場ゲートの混雑を緩和」
ただ、顔認証だけでなく、更に強固なセキュリティを求められるケースもあります。例えば、レジやカード決済時の認証、金融分野での厳格な本人確認などでは、顔認証+アルファが求められます。
そこで顔認証+虹彩認証です。虹彩とは眼球の黒目の内側あたり、瞳孔の周りをドーナツ状に囲んでいる部位のことです。虹彩は指紋のように個人個人で異なっています。実はNECは虹彩認証技術でも同様に世界No.1の精度実績を持っています。
NECは顔認証と虹彩認証が同時にできるモジュールを開発しました。それが「NEC Innovation Day 2024」の講演でNECの西原CTOが紹介した超小型のカメラとICモジュールです。
顔認証と虹彩認証が同時にできる革新的な技術
顔認証はカメラからある程度離れた距離で認証を行いますが、スパイ映画のワンシーンのように虹彩認証は瞳孔をカメラのすぐ近くで見せて認証を行っています。本来、このように端末からの適正距離が異なるはずの2つの認証を、1つのモジュールで瞬時に行える、というのですから、これはかなりの驚きです。関連記事「NECが顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を開発 数千万人規模の認証を屋内外問わず高速かつ高精度に実現」
展示ブースで顔と虹彩のW認証を体験
と、そんなことを感じていたら、「NEC Innovation Day 2024」の展示ブースで顔認証+虹彩認証を実際に試すことができました。
動画ではまず、顔認証と虹彩認証用に登録を行い、登録完了後に認証を行う様子を録画してきました。筆者のワンオペ撮影なので、顔が隠れないように撮った結果、少し見づらいものになってしまったかもしれませんが、その認証スピードをご覧ください。
認証にかかった時間はあまりにも一瞬で、瞬きする時間もなかったかもしれません。この距離とスピードで認証できるとなれば、虹彩認証も身近な認証技術になっていくだろうと感じました。
なお、顔と虹彩のW認証の信頼性について伺ったところ、虹彩認証をプラスすることで双子や肉親であっても誤認識することはなく、顔だけでは数10万人規模だったところが、顔と虹彩のW認証では数千万から1億人レベルでの判別が可能(この高速性を担保する場合は数10万人レベル:確度は高精度)ということでした。
今後の進化と普及が楽しな技術です。
NECのCTOが「NECの先端技術開発」を発表 生成AI・大規模言語モデルの新Ver、生体認証の最新技術、図表を理解するAI など NEC Innovation Day 2024
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。