東大発ベンチャーがAI搭載四足歩行ロボット『HLQ Pro』β版の提供を開始

東京大学発のベンチャー企業Highlandersは、2025年5月12日より、総重量約60kgの四足歩行ロボット「HLQ Pro」のベータ版提供の開始を発表した。

HLQ Proは、独自設計の堅牢なフレーム構造と高出力アクチュエータにより、大型の機材を搭載したまま不整地や段差の多い地形を踏破できるAI制御ロボット。消火用機材や有害環境で使用する化学剤検知器といったペイロードを、人が危険な場所に立ち入ることなく運搬することを想定し、緊急対応や産業現場における人的リスク削減に貢献する。また、防塵防滴仕様の堅牢なボディと最大4時間稼働のバッテリーにより、屋外の過酷な環境下においても長時間の運用が可能となっている。

今回のHLQ Pro ベータ版は、国内の消防・防災機関 や化学プラント事業者、インフラ企業などを中心に提供を開始し、2026年内に正式リリースを目指している。

HLQ Proは、過酷な環境下でも重量物を運搬できるそのパワフルな機動性能により、従来は人手で行われていた危険な重労働の代替が期待されており、作業者の安全確保・業務効率化に大きく寄与するとのことだ。

主な特長

高い踏破性と機動力

四足歩行による優れたバランス制御と歩行能力により、砂利や瓦礫、傾斜地などの不整地や段差も安定して移動できる。従来の車輪型ロボットでは進入できない狭隘な空間や荒地でも、HLQ Proは確実に踏破する。

重量物の搭載能力

本体フレームに堅牢なマウント部・給電ポートを多数備え、消火器や化学剤検知器等の数十kgの重量物を安全に搭載・統合可能。任務に応じた機材を取り付けることで、ミッションに最適な構成を柔軟に実現できる。

AIによる自律制御

強化学習を活用したAI歩行制御アルゴリズムを搭載しており、障害物や地形の変化をセンサーで検知、リアルタイムに歩行パターンを最適化。これにより、人間の操作が届かないエリアでも事前に指示したルートに従って自律移動が可能となり、遠隔監視下で任務を遂行する。

防塵・防滴仕様

防塵・防滴(IP54相当)設計のボディにより、粉塵の舞う現場や雨天時の屋外でもスムーズな移動が可能。水しぶきや泥濘にも耐え、過酷な環境下での継続的な任務遂行を実現する。

︎ロボットの仕様

商品名称 HLQ Pro(エイチエルキュープロ)
寸法(スタンバイ状態) W440 x D880 x H570mm
寸法(起立状態) W440 x D880 x H980mm
質量 約60kg(保護服除く)
最大積載重量 20kg(左右均等加重であること)
駆動方式 電動アクチュエータ 12DoF
最高移動速度 2.5m/s
踏破性能 30cm段差、35 °傾斜
通信方式 無線LAN規格:IEEE 802.11 b/g/n (2.4GHz),
搭載センサー 障害物検知(LiDAR, 3Dカメラ)


Highlandersコメント

私たちは、『労働をロボットで一掃する』という挑戦的なビジョンを掲げています。
HLQ Proは、そのビジョンの下で誕生した製品であり、危険で過酷な現場における人間の負担を取り除くことを目指しています。今回のベータ版提供開始により、パートナー企業の皆様と共に実証を重ね、本格的な社会実装に向け技術をさらに洗練させていく所存です。


ベータ版提供プログラムについて

HLQ Proのベータ版提供プログラムでは、本ロボットの導入を希望する企業・団体に対し、実際の現場でHLQ Proを試用いただく機会を提供するとしており、特に消防・防災分野、石油化学プラントなどの危険エリア管理、建設・インフラ点検といった、危険環境下でのロボット活用ニーズが高い分野の企業を主な対象としている。尚、参加企業には当社技術者による導入支援や技術サポートを提供し、現場で得られたフィードバックを基に改良を重ねていく予定とのことだ。

ベータプログラムへの応募は、Highlanders公式ウェブサイト内の専用フォームにて受付を開始。募集枠には限りがあり、応募多数の場合は利用目的や環境に鑑みて提供時期の調整を行う。

関連サイト
株式会社Highlanders

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