リョーサン菱洋は、NTTと共同で、神奈川県横須賀市に設置された産業用ロボットを東京都武蔵野市のサーバーからIOWN APN上で遠隔制御するシステムの実証実験に成功したと発表した。
ロボット導入時に必要な構築工数を同社過去実績比で約30%短縮できることを確認。特にロボット設置後の工程では、従来約70日を要していた作業を約35日まで50%削減できることが実証された。
中小規模工場が抱えるロボット導入の課題
少量多品種生産を行う中小規模工場では、ロボティクスの専門知識を持つ人材の確保が難しく、導入には多大な時間とコストがかかる。
産業用ロボットはロボット本体と動作制御機器・システムが一体で構築されるため、ロボットごとに制御環境の整備が必要となり、導入費用が高額になりやすい。
また、ロボットメーカーごとに動作制御システムの仕様が異なるため、導入のたびにシステム構築工数が発生する。さらに、異なるメーカー間で動作制御システムの互換性がほとんどないため、導入後のロボット変更や追加も困難だ。
こうした障壁により、人手不足が深刻化する生産現場においてもロボット導入が十分に進んでいない状況が続いている。
共通フレームワークで遠隔制御を実現
今回の実証実験では、リョーサン菱洋が代理店を務めるFranka Robotics社およびDobot社の産業用ロボットを使用した。
NTTの「産業用ネットワークの機能ソフト化技術」を活用し、パレタイズやねじ締めなど各作業を「作業モデル群」としてサーバー上にソフトウェア実装してテンプレート登録。さらにロボットメーカーごとに異なるプロトコルドライバを「プロトコルドライバ群」としてテンプレート登録したROS 2ベースの共通フレームワークを構築している。
東京都武蔵野市のサーバー上で適切な作業モデルとプロトコルドライバを選択すると、神奈川県横須賀市の産業用ロボットが動作し、遠隔制御が成功した。
中小規模工場にコンベア付きの簡易的なロボットシステム1台分を新規導入する場合、従来は約6~7カ月を要していた構築工数を最短で約4.5カ月まで短縮できる可能性が示された。

専門知識不要の操作性
実証されたシステムでは、現場の作業者が作業モデルを選択するだけで操作・運用を開始できる。
専門知識がなくても直感的に操作できるため、ロボットの動作定義にかかる時間を大幅に短縮できる可能性がある。
また、制御機構をエッジ拠点に集約して複数の工場をネットワークで接続することで、一括でのシステム構築・変更や機器費用の削減効果も期待される。
さらに、工場とエッジデータセンターなど異なる拠点間でデジタルツインプラットフォームを共有し、仮想環境で試したモデルを現実環境に反映させることで、複数拠点間でのシミュレーション確認・検証も可能となる。
リョーサン菱洋とNTTは今後、産業用ロボットの遠隔制御を必要とする他のユースケースへの活用にも積極的に取り組み、製造業をはじめ食品産業や化粧品産業などの生産ライン自動化を通じた人手不足解消に貢献していく方針だ。

