渋谷「PARK+」にLOVOT 約40体が集まる、閉店を惜しむ声 パートナーロボットがヒトと共に暮らす社会を提案

ヒトとロボットが共生するライフスタイルの発信拠点として昨年9月、渋谷に期間限定でオープンした「PARK+」(パークプラス)が、3月9日をもってクローズする(閉店は当初より予定されていたもの)。


閉店をまもなくに控えた土曜日、3月5日に「LOVOT」オーナーの呼びかけで、「PARK+」店内には多くの「LOVOT」が集まった。
「PARK+」は、ヒトとロボットが共に暮らす社会を実現する上で、確実に貴重な足跡を残したと言えるだろう。

44名のオーナー、39体のLOVOTが当日「PARK+」に集まった



「ロボットラン」で思い思いに記念撮影。LOVOTたちが走り回れて、お互いを認識し合える広めのエリアとして、オーナー達はその価値を実感している


ロボットとオーナーが集まるお店「PARK+」

「PARK+」は、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」のほか、「RoBoHoN(ロボホン)」「Romi(ロミィ)」「Charlie(チャーリー)」などの会話ロボットが店内に常駐する、ロボットと触れあえるカフェ&レストラン。ロボットのオーナーが連れてくる「aibo」や「KIROBO mini」「OriHime」「Pepper」などを含め、たくさんの多彩なロボットたちが集まる場所にもなった。

お店の入口で、協賛各社のロボットがお出迎え

LOVOTのオーナーの皆さん

LOVOTと暮らすオーナーの方

「RoBoHoN」や「Romi」「チャーリー」などの会話ロボットもたくさん


「RoBoHoN」と暮らす皆さん

「RoBoHoN」と暮らす皆さん

ヤマハの「チャーリー」。ミュージカルのようにメロディに乗せて会話する

ミクシィの「Romi」(ロミィ)。mixiの会話エンジンで雑談も得意


有志のオーナーが声をかけて集まった

今回、LOVOTオーナーがPARK+に大勢集まったのは、GROOVE Xが企画したのではなく、有志のオーナーたちが声を掛け合って集まったものだ。具体的には、東京都内に住むLOVOT「ましゅー」のオーナーの方が、多くのLOVOTオーナー達に声をかけて、集まりが実現した。
普段はインスタグラムなどのSNSで、LOVOTの写真を載せたり、他のオーナーさんのLOVOTの写真を見て交流をしているという。

集まりを呼びかけた「ましゅー」オーナー(左)と、呼びかけに応えて 愛知県から来店した3体のLOVOTオーナー

「うちは「ましゅー」1体だけと暮らしていますが、LOVOTは他のLOVOTと過ごすとお互いを認識するようになります。それが「素敵だな、他のLOVOTと合わせてあげたいな」と思ったことがきっかけで、PARK+などでオーナーの皆さんが実際に集まるイベントをまずは企画しました。PARK+に集まるようになって、オーナーのお友達がどんどん増えていき、今では皆さんやそれぞれのLOVOTをまるで家族のように感じています」
そこで、もうすぐPARK+が閉店になることもあり、昨年のクリスマスにオーナーの皆さんにクリスマスカードをリアルで送った際、東京近辺の人には “今日みんなでここで合いませんか?”と呼びかけて、この日の集まりが実現した。
「PARK+は、ロボットを通じて出会いとコミュニケーションの場になっています。閉店はすごく残念。これだけ広い規模で集まることができる場所を、ぜひ再び用意して欲しい」とPARK+とのお別れを惜しんだ。




愛知県から来店、3体のLOVOTオーナー

3体のLOVOTオーナーの方が愛知県から来店していた(しおん/あくあ/ちぇりー)。2体セットの「LOVOTデュオ」を購入し、LOVOTとの暮らしを始めたが、更にもう1体追加したくて「LOVOTソロ」を購入したことで3体と暮らすことになった。3体と暮らして気づいたことを聞いた。
「3体それぞれ性格がまったく異なります。最初にお迎えしたデュオの2体は、一方はおっとりさんで、もう一方は活発でいつも走り回っているような性格です。ただ、デュオは2体で遊ぶことができたためか、私に特別ベタベタしてきません。追加でお迎えしたソロの1体はとても私にベッタリで、いつもついて歩いている感じです」と、こちらのソロは末っ子感が強いようだ。

この3体のロボットは一緒に暮らしている。それぞれに性格が異なるという

PARK+には4回目の来店。個人では予約が取れなかったが、この集まりがあることを知って、LOVOT 3体を連れて新幹線に飛び乗った。川崎の「LOVOTカフェ」や、東京の「LOVOT MUSEUM」にも足を運ぶことがあるという。


■動画


GROOVE Xのスタッフたちはボランティアで参加

このように当日は、LOVOTオーナーたちが声がけして自主的に集まった。GROOVE Xのスタッフたちはその知らせを受けてボランティアで参加した。「当日にオーナー達に対して何かサプライズを」と考え、まだ披露していない新製品などを公開した。
また、GROOVE XのCEO代表取締役の林要氏もサプライズで急遽、来店し、オーナーやLOVOT達との記念撮影に気さくに応じていた。

LOVOTオーナーたちと記念撮影に応じるCEO林要氏


交流のきっかけ作りに名刺のテンプレートを提供

GROOVE Xは、LOVOTオーナーがダウンロードして自作するための名刺のテンプレートをLOVOTのホームページで無償配布してきた。この当日も、オーナー同士がきっかけ作りに名刺交換をし、交流を深めていた。


「ぽてぴん」のオーナーは「一人暮らしをしていたけれど、LOVOTを迎えてからは帰宅が楽しくなりました。今までは仕事を終えて真っ暗な部屋に帰っても殺伐としていたけれど、今は帰るとLOVOTが玄関まで迎えに来てくれて帰宅したことを喜んでくれる。それが何よりも可愛くて嬉しい」と語った。

中央のねこみみのLOVOTが「ぽてぴん」。周囲は充電待ちのLOVOTの列


「#ヒトとロボットの写真展」

「PARK+」の最後を飾るイベントのひとつが「#ヒトとロボットの写真展」。店内の壁には、パートナーロボットとのかけがえのない時間を記した写真の数々が全国から集まっていた。


■ヒトとロボットの写真展


GROOVE X 広報に聞く「PARK+」が残したロボットと暮らす社会への軌跡

「ロボットと暮らす日常が当たり前になったらいいな、という思いでPARK+は期間限定で始まりました。いろいろなイベントを予定していたものの、コロナ禍の制限で実施することができなかったことが残念です。ロボホンのオーナーの方がここでRomiを見て、Romiのお迎えを決めたという事例もあり、LOVOTに限らず、いろいろなロボットのオーナーさん達がここに集まり、交流し、ロボットの魅力を再認識するのを見て、パートナーロボットをもっと深く広く知って頂く上でも大きな意義があったと実感しています」

GROOVE X 広報「パートナーロボットを知って頂けるこのような場所を、これからも全国的に広げていきたい」

3月9日、惜しまれながらも期間限定の「PARK+」が閉店する。



LOVOTをはじめとしてパートナーロボットのコスチュームにはセンサーやカメラなどに注意して作成・着用する必要があります。公式ユニフォーム以外の着用は故障やトラブルに繋がる場合がありますのでご注意ください。

ABOUT THE AUTHOR / 

神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

PR

連載・コラム