産業用デジタルツイン Omniverse向けコンピュータ「NVIDIA OVX」発表 ロボットや自動運転、アバター開発などデータセンター並み高性能

NVIDIA(カリフォルニア州サンタクララ)は、現地時間の2022年3月22日に、大規模なデジタルツインを実現するために設計されたコンピューティング システムであるNVIDIA OVXを発表した。

NVIDIA OVXは、リアルタイムの物理的に正確な世界のシミュレーションおよび3Dデザイン コラボレーション プラットフォームであるNVIDIA Omniverse内で実行される複雑なデジタルツイン シミュレーションを操作するために設計されており、建物全体や工場、都市、さらには世界をモデル化するための複雑なデジタルツインをシミュレートするために使用される。

同システムは、高性能なGPUで高速化されたコンピューティング、グラフィックス、AIを、高速ストレージアクセス、低遅延ネットワーキング、および高精度のタイミングと組み合わせて、実際の精度でデジタルツインを作成するために必要なパフォーマンスを提供する。

「GTC2022」の基調講演の中でも、デジタルツイン(Omniverse)の活用事例として、ペプシとAmazonロボティクスの物流倉庫が紹介された。(関連記事「NVIDIA「Jetson AGX Orin」開発者キット発売開始、価格を発表 Amazonロボティクスのデジタルツイン事例も公開」)


NVIDIA OVX と OVX SuperPOD

OVXサーバーは、8基のNVIDIA A40 GPU、3基のNVIDIA ConnectX-6Dx 200Gbps NIC、1TBのシステムメモリ、および16TBのNVMeストレージで構成されている。 OVXコンピューティング システムは、8台のOVXサーバーの単一ポッドから、NVIDIA Spectrum-3スイッチ ファブリックまたは32台のOVXサーバーで構成されるOVX SuperPODに拡張して、大規模なデジタルツイン シミュレーションを加速する。

OVXサーバーで構成されるOVX SuperPOD

OVXを使用すると、デザイナーやエンジニア、および計画担当者は、物理的に正確な建物のデジタルツインを構築したり、物理世界と仮想世界で正確な時間の同期を行いながら、大規模で現実に近いシミュレーション環境を構築することができる。また、企業は、同じ時空間で相互作用する複数の自律システムを使用し、複雑なシステムとプロセスを評価およびテストしたり、より効率的な工場や倉庫を最適化、拡張、または作成したり、ロボットや自動運転車を実世界に配備する前にトレーニングしたりすることが可能となる。

NVIDIAのプロフェッショナル ビジュアライゼーション担当バイスプレジデントのBob Pette氏は次のように述べている。

NVIDIA プロフェッショナル ビジュアライゼーション担当バイスプレジデント Bob Pette氏

物理的に正確なデジタルツインは、未来のデザインおよび構築の手法です。デジタルツインは、すべての業界や企業での計画のやり方を変えるでしょう。 OVXのシステム ポートフォリオは、業界を超えた真のリアルタイム、常にシンクロした産業規模のデジタルツインを実現することができます。



入手方法

OVXソリューションは、NVIDIA-Certified Systemであり、必要なパフォーマンス、管理性、セキュリティ、およびスケーラビリティを提供するためにテストおよび検証を実施している。同ソリューションとOmniverseソフトウェアの包括的なエンタープライズ グレードのサポートは、NVIDIAとOEMのシステム ビルダーが共同で提供。また、今年後半には、Inspur、LenovoSupermicroを通じて利用できるようになる予定だ。


なお、NVIDIA Omniverseの詳細については、ジェンスン フアンのGTC 2022基調講演にて確認できる

■【動画】GTC 2022 Keynote with NVIDIA CEO Jensen Huang(※Omniverse Digital Twins内、55:11~/英語、日本語字幕可能)





デジタルツインの開発

セクターイニシアチブ「Digitale Schiene Deutschland」(ドイツ向けデジタル鉄道)内で、DB Netze(ドイツ鉄道AGの子会社)は、ドイツの全国鉄道網のデジタルツインをOmniverseに構築し、列車の自動運転に向けたシステムのトレーニングや鉄道運行の不測の事態に対するAIによる予測分析ができるようにすることを目的としている。

DBNetze 鉄道デジタル化責任者 Annika Hundertmarkさん

フォトリアリスティックなデジタルツインを使用してAI対応の列車をトレーニングしたりテストすることで、インシデントを最適に検出して対応するためのより正確な知覚システムを開発することができます。我々の現在のプロジェクトにおいて、NVIDIA OVXは、集中的な機械学習開発のためのデータを生成し、これらの非常に複雑なシミュレーションとシナリオを運用するために必要なスケール、パフォーマンス、およびコンピューティング機能を提供します



画像:Digitale Schiene Deutschland公式サイト内より
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