グルーヴノーツが量子コンピュータでシフト計算するデモを報道陣に公開 経産省/日本惣菜協会「ロボットフレンドリー」に量子技術で参画

人手不足が深刻化する中、惣菜製造工場において人手を増やさずとも従業員の負荷を軽減して生産性向上を図るためには、ロボットを導入しやすい「ロボットフレンドリーな環境(ロボフレ)」の構築が重要になり、特に人とロボットが協力して働く上では、人とロボットの役割分担を踏まえたシフト作成が欠かせなくなってくる。



経産省の「ロボットフレンドリーな環境」に量子技術で参画

経済産業省は、ロボットを導入しやすい「ロボットフレンドリーな環境」の実現に向けて、官民一体で「惣菜盛付ロボットや製造工程最適化のためのシステム」への取組みを3月29日に発表した。その発表会の中で、惣菜製造現場でICTの導入を具体的に進めるため、アールティの惣菜盛付ロボット「Foodly」コネクテッドロボティクスの「惣菜盛付ロボット」が採用されたことを発表し、更には兼ねてからシフト計算で実績がある、グルーヴノーツの「量子コンピュータによるシフト計算最適化と、売上予測システムの開発と現場導入」を紹介した。

株式会社グルーヴノーツ 代表取締役社長 最首英裕氏


量子技術はシフト計算に最適

複雑な従業員のシフト計算は多くの業界にとって悩みの種になっている。数百人規模のシフトの最適化を現存のコンピュータでやろうとすれば数十年、数百年かかるとも言われ、非現実的なものとして知られている。そこで「組合せ最適化問題」が得意な量子コンピュータなら数分で最適解を導き出せると期待されている。それを現実に実線導入しているのがグルーヴノーツだ。実物の量子コンピュータは管理運用が大変なため、既に現存するD-Waveの量子コンピュータを活用し、クラウドで運用している。最首氏は量子コンピュータが多くのユースケースで導入が始まっていることを紹介した。




惣菜製造業向けに「最適なシフト作成」と「AIを活用した注文量の予測」を開発

量子コンピュータ関連ビジネスを手掛ける株式会社グルーヴノーツと一般社団法人日本惣菜協会は、惣菜製造業界全体の課題として挙げられる「労働力の確保」や「廃棄ロスの削減」の解決に向け、惣菜製造各社が共通的に利用できる「量子コンピュータを活用した最適なシフト作成」「AIを活用した注文量の予測」の実現に取り組んできた。

同社および日本惣菜協会と同協会の会員である惣菜製造企業5社と連携し、経済産業省が推進する令和3年度「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」において、量子コンピュータによるシフト最適化モデル/AIによる注文量予測モデルの構築に取り組んでおり、2022年3月29日、マックスバリュ東海株式会社と株式会社グルメデリカで、シフト作成システムの現場運用を開始したことを発表した。また、株式会社ニッセーデリカでは、注文量予測モデルの活用にも取り組んでいる。


量子コンピュータと言えども、実体はクラウドにあるため、スタッフの作業は通常のパソコン操作と変わらず、出力されるファイルもExcelファイルだ。とくに難しいことはない。


■動画 グルーヴノーツが量子コンピュータでシフト計算するデモを報道陣に公開

経済産業省による令和3年度「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」について
施設管理、小売、食品製造などの人手不足が顕著な分野へロボットを導入していく上で、導入コストの低減につながるロボットを導入しやすくする環境(ロボットフレンドリーな環境)の整備が重要となっており、今回、食品分野の研究開発を実施する事業者として日本惣菜協会が採択され、そのパートナーにグルーヴノーツが参画している。





同プロジェクトについて

同プロジェクトではまず、課題に応じてモデル企業を定め、業界に共通する要件の抽出・整理を行い、この共通化・標準化した要件をもとに、量子コンピュータによる月別や日別のシフト最適化モデルとAIによる注文量の予測モデルの構築・改善に取り組み、このたび、各社の現場業務においてシフト作成/注文量予測システムの運用を開始した。これらの仕組みには、豊富な機能で短期間のシステム構築を可能にするグルーヴノーツのクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」を利用している。

「MAGELLAN BLOCKS」を利用したシフト作成


今後も同社は、量子コンピュータやAI導入のハードルを下げ、課題解決に取り組みたい企業が手軽に先端テクノロジーを活用できるよう支援していくとのことだ。



「MAGELLAN BLOCKS」の特長

「MAGELLAN BLOCKS」は、最新の数理モデルで高度なデータ解析が可能となり、ブロックをつなぐだけの手軽さで、シンプルで使いやすいという特長をもっている。


最新の数理モデルで、高度なデータ解析が可能に

最先端の量子コンピュータモデルやディープラーニングモデルなど、さまざまな数理モデルを独自に開発し、常に最新機能として提供。複雑化・高度化し続ける業務課題に対応できる。




ブロックをつなぐだけの手軽さで、シンプルに使いやすく

難しいプログラミングやシステム開発を必要とせず、機能の「ブロック」をつなぎ合わせるだけの簡単な操作で、一連の処理を実現。豊富な機能で業務の自動化、省力化を実現する。


■【動画】MAGELLAN BLOCKS|Overview


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クラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS」:
https://www.magellanic-clouds.com/blocks/

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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