世界最大のホームセンター小売業者の1つであるLowe’sは、NVIDIA Omniverse Enterprise を使用して店舗のデジタルデータを視覚化し、操作することで、米国の 2つの店舗でデジタルツインのテストを行っている。
Lowe’sは、2,000を超える店舗で毎週数千万件の取引を行い、顧客の住宅改修をサポートしている。アメリカのフォーチュン誌が経営コンサルティング会社BCG Henderson Instituteと提携して作成している「Fortune50」に選ばれており、現在、店員と顧客の両方の体験を向上させるために、ハイテクな方法を試みている。
Lowe’sの取り組み〜NVIDIA Omniverse Enterpriseの活用〜
同ホームセンターは、店員が顧客により良いサービスを提供し、新しい方法で互いに協力し、店舗運営を最適化することを最終的な目標としており、NVIDIA Omniverse Enterpriseを使用して店舗のデジタルデータを視覚化し、操作することで米国の2つの店舗でデジタルツインのテストを行っている。
Lowe’s エグゼクティブ バイス プレジデント 兼 最高デジタル情報責任者 Seemantini Godbole氏は、次のように話している。
Lowe’s エグゼクティブ バイス プレジデント 兼 最高デジタル情報責任者 Seemantini Godbole氏
Lowe’sでは、店舗運営を再構築し、顧客との摩擦を取り除く方法を常に模索しています。NVIDIA Omniverse を使用することで、これまでにない方法でデータを収集し、店員にスーパーパワーを提供しています
また、同氏は、Lowe’sにとって、ホームセンターの未来は、AI、デジタルツインおよび複合現実が店員の日常生活に関与するものであると述べており、NVIDIA Omniverse によって、Lowe’sはこの未来を構築するためのステップを踏み出し、新しい戦略をテストしながら、さらに多くのことを行おうとしている。
■【動画】Reinventing Retail: Lowe’s Builds Digital Twins of Stores to Deliver Enhanced Shopping Experiences(小売業の改革: Lowe’sが店舗のデジタルツインを構築して強化されたショッピングエクスペリエンスを提供/英語)
拡張現実による在庫管理と「X線ビジョン」
Lowe’sは、インタラクティブなデジタルツインを使用して、レイアウトの再構成や在庫管理サポート、コラボレーション、さらに「X線ビジョン」と呼ばれるものなど、さまざまな新しい拡張現実の活用事例を模索している。
デジタルツインと対話可能に
Magic Leap2 ARヘッドセットを装着すると、店員はデジタルツインと対話可能になる。このAR体験は、店員が店舗の棚がどのように見えるべきか、実際にどのように見えるかを比較し正しい製品が適切な構成で在庫されていることを確認するのに役立つ。また、現場の店員はARを介して中央の店舗プランナーと通信し、コミュニケーションすることができるため、例えば、店員が店舗の棚割案に改善の余地があることに気付いた場合など、ARの「付箋」を使用してデジタルツインにフラグを立てることが可能だ。
「X線ビジョン」を探索
その他、デジタルツインと Magic Leap2 ヘッドセットの利点は、「X線ビジョン」を探索できることにある。従来、店員ははしごを登って、店舗の一番上の在庫に保管されている段ボール箱の小さなラベルをスキャンまたは読み取る必要があったが、ARヘッドセットとデジタルツインを使用すると、店員は部分的に隠れた段ボール箱を地上から見上げることができ、コンピューター ビジョンと Lowe’sの在庫アプリケーションプログラミングインターフェイスのおかげで、ARオーバーレイを介して中身を「見る」ことができる。
店舗データの可視化とシミュレーション
ホームセンターの小売業は商品に触ることができるビジネスだ。また、新しい店舗の陳列を決定する際、小売業者が何が有効かを確認する一般的な方法は、実際のプロトタイプを作成し、それを実店舗に出して顧客の反応を調べることにある。Lowe’sは、NVIDIA Omniverse と AIを使用して、このプロセスにアプローチするためのより効率的な方法を模索している。
デジタルツインを活用したショッピングエクスペリエンスの最適化
eコマースサイトが分析を収集して顧客のショッピング体験をオンラインで最適化するのと同じように、デジタルツインにより、販売実績と顧客トラフィックデータを見て、店舗での体験を最適化する新しい方法が可能になる。例えば、10万平方フィートの場所では商品を受け取るために必要な手順の数を最小限に抑えることが重要であり、頻繁に一緒に購入される商品の物理的な距離を示す3Dヒートマップとビジュアルインジケーターは、店員がこれらの商品設置場所を近づけるのに役立つといえる。
NVIDIA Omniverseを活用したシュミレーション
また、過去の注文と製品の位置データを使用しながら、NVIDIA Omniverseを使用して、店舗のセットアップが異なる場合に何が起こるかをシミュレーションすることも可能だ。Lowe’s Innovation Labsで作成された AIアバターを使用して、小売業者は、よく一緒に購入される商品を受け取るために、顧客と店員がどのくらいの距離を歩く必要があるかをシミュレーションすることができる。
Lowe’s Seemantini Godbole氏
NVIDIA Omniverse を使用すると、実店舗の陳列を構築するよりもわずかな時間で数百ものシミュレーションを実行できる。
メタバースへの拡張
Lowe’s はNVIDIA GTC において、住宅改善ライブラリから 600を超えるフォトリアルな 3D製品アセットをまもなく作成し、他の Omniverseクリエイターが仮想世界で無料で使用できるようにすることも発表した。これらの製品はすべて、Omniverseが構築されている Universal Scene Description 形式で利用でき、NVIDIA Omniverse Enterpriseを使用して開発者が作成したあらゆるメタバースで使用可能だ。
https://www.nvidia.com/ja-jp/omniverse/enterprise/
Universal Scene Description(USD)詳細ページ/英語:
https://www.nvidia.com/en-us/omniverse/usd/
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