月面探査車「YAOKI」を天井裏点検ロボットにも応用 月面探査技術を活用

月面探査車YAOKIを開発するダイモンは、月面探査技術を活用し、それを地上での課題解決に向けて応用した新型の「天井裏点検ロボット」の開発に着手。2024年内の開発完了を予定している。

今回開発を行っている天井裏点検ロボットは老朽化ビルの維持・保全を目的としており、超軽量・小型で転んでも走行可能な月面探査車YAOKIの強みを活かし、天井裏点検ロボットとして改良することで、複雑な天井裏や配管設備を安全かつ効率的に点検するとしている。

背景・課題

東京都の都市部では、1960年代から始まった高度経済成長期に今のビルの大半が建設されたが、現在これらのビルは老朽化が進み、修理・補修にまず点検が必要な状態となっている。しかし、天井裏など人が入れない場所の点検が困難という課題があるため、ダイモンは月面探査車の開発で培った技術を活用し、ビルの天井裏点検に適した超軽量小型ロボットを開発することにした。

老朽化が進んだビルは、メンテナンスが非弱な場合が多く、特に天井裏の配管設備の劣化が顕著に進行している。この配管から一度でも水洩れが発生すると、周辺部に水が溢れ、コンクリートに浸水し、ビルの寿命を一気に縮める事になるため、これら老朽化が進んでいるビルの維持・保持が都市部の喫緊の課題となっている。

天井は人の体重には耐えられず、天井裏に人が入る事ができないため、対象エリア全域を洩れなく点検する事は困難なため、作業時間も多く必要となり、さらに点検中は周辺エリアのビル内での通常営業を止めてしまうため、点検作業のコストが高くなる。一方でドローンによる点検も使われ始めていますが、配管の裏や狭い隙間の点検精度が悪く、また1回の点検時間が限られるという問題もある。

上記のような課題は、2018年頃から顕在化し、年々増加、2030年には「都市寿命」を迎えるとされ、早急な対応が必要な状況となっている。

月面探査車YAOKIについて

ダイモンが開発する月面探査車YAOKIは、双輪式で重量が0.5 kg(従来比1/10)、大きさが15x15x10 cm (従来比1/50)と超軽量で小型。また、カメラの映像を頼りに地球から遠隔操作する。車輪は球形で車体を覆い、上下対象で、全体的にラグビーボールのような楕円形なため、転んでも倒れても走行可能で、その特徴から「七転び八起き」に由来して「YAOKI(ヤオキ)」と命名されている。


月面探査車YAOKI

YAOKIの初回のミッションは2024年春を予定しており、米Intuitive Machines社の月着陸船Nova-CにYAOKIを乗せ、月の南極付近に送り込む。月面着陸後、YAOKIは地球からのリモート操作による月面走行および月表面の接写画像データの獲得など、超小型ロボットによる月面運用を実施する予定。

YAOKIを改良して天井裏点検ロボットに

天井裏点検用YAOKIのプロトタイプ

ダイモンは「月面探査事業」を主力事業として邁進する一方、「地上ロボット事業」への技術展開を図っており、今回の天井裏点検ロボットは月面探査車YAOKIの特徴である、シンプル、小型軽量、高い走破性を活かし、地上点検ロボットへの展開を図ったもので、その中でも特に市場ニーズの高い、天井裏点検ロボットの開発を開始。

天井裏点検ロボットは、ビルの天井裏等の人が立ち入れない狭いスペースや危険な領域の点検を可能とし、ビルの定期的な点検作業を効率化。さらに、広角カメラや立体把握センサー等を搭載することで、より高精度な点検が可能となります。これにより、ビルの寿命を延ばし、都市部の安全と環境保全に大きく貢献する。

月面探査車から天井裏点検ロボットに転用するために必要な改良項目として、下記の項目を挙げている。

構造変更 2輪を4輪に変更し、配管等障害物の乗り越え性能を上げる
材料変更 車輪を耐熱樹脂から、弾性材等に変更し、グリップ力を高める。
形状変更 車輪を月面砂地走行に適した形状から、点検に適した形状に変更し、走行の最適化を図る
センサー変更 月面探査用カメラから、広角カメラに変更し、立体把握センサー等を追加搭載することで、点検精度を高める。


今後について

開発は2024年内には完了を予定をしており、販売先として、ビルのオーナー、管理会社、メンテナンス会社などを想定しており、将来的に「公共施設ビル」「マンション」「配管などのインフラ設備」など対象ビルの追加により、事業の拡大を図る計画。 また、今後は被災地救済ロボット、配管・廃炉点検ロボットなどへの応用も計画しているとのことだ。

関連サイト
株式会社ダイモン

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