ロボットの動作をエレベータが音声で伝えると利用者は安心 三菱電機とATRがヒューマンファシリティインタラクション機能を開発

三菱電機株式会社と株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は、ロボットがエレベータに乗降する際、ロボットの動作情報をエレベータのかご内に向けて音声案内する機能「ヒューマンファシリティインタラクション」を発表した。
エレベータ利用者にとってロボットが乗り込んだり、降りたりする際、何も情報がないと不安に感じるものだが、ロボットがこれからどう動くのか動作情報を伝達することで、エレベータ利用者に対して安心感が提供できるという。このしくみは「ヒューマンファシリティインタラクション(HFI)機能という。HFIは、人とビル設備とのインタラクション機能に関わる研究であり、音声だけでなく表示やジェスチャなど多様なモダリティを含む。



ロボットと人がエレベータに同乗する時代に向けて

最近では、オフィスビルや商業施設などにおいて、清掃や警備、搬送などさまざまなサービスロボットの導入が進んでいる。既にエレベータと連携して、フロア間の移動を自動化できる技術やサービスが実用化されている。
さらに、人とロボットがエレベータに同乗できる機能によって、効率良くフロア間の移動を行うことが可能となる。その一方で、人とロボットがエレベータに同乗する際には、一般的にエレベータの利用者がロボットの動作に対して配慮することが求められるが、ロボットの動作情報がエレベータの利用者に伝わらず、利用者は不安やストレスを感じやすいという課題がある。

三菱電機とATRは今回、人が常に一歩先を予測して行動し、他人に対して無意識にストレス軽減動作(会釈や、声掛けなど)を行なっている点に着目し、ロボットのエレベータ乗降時に、エレベータ利用者に動作情報を音声で案内するHFI機能を開発した。
ロボットもしくはエレベータから、ロボットの動作情報をエレベータの利用者に直接伝えることで不安やストレスを軽減することが期待できるという。


この開発成果の詳細は、米国カリフォルニアで8月26日から30日まで開催される「IEEE RO-MAN 2024」で8月29日(現地時間14時40分)に発表する予定だ。


開発の特長


1. HRI技術の知見をもとに、ロボットの動作情報を音声で伝えるHFI機能を開発

これまで、三菱電機とATRがそれぞれのロボット開発で培ってきたヒューマンロボットインタラクション(HRI)技術の知見をもとに、ビル設備の一つであるエレベータに適用可能なHFI機能を三菱電機が開発。


2. 音声案内により、エレベーター利用者に安心感を提供

今回開発したHFI機能の音声案内を用いて、ロボットの動作情報をエレベーター利用者に伝達し、効果を検証する実証実験を実施。

実証実験にはWOZ法(Wizard of Ozの略。製品やシステムを完成しているように人が動かすプロトタイプ技法)を採用し、ロボットが移動する際にエレベータもしくはロボットの音声案内を実施。

音声案内例
『今からロボットが乗ります。出発まで少々お待ちください』

エレベーターもしくはロボットいずれの音声案内の場合でも、ロボットに対する利用者の好感度があがり、安心感を提供できることを確認。



今後の予定・将来展望

今回開発した機能について、具体的な製品化計画は未定だが、今後もさまざまなサービスロボットとエレベータでの評価を重ね、この開発で得られた音声案内機能の向上を進めていきたい、としている。


各社の役割

三菱電機
HFI機能の開発、実証実験

ATR
HRIの知見を利用した実証実験計画

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