カルビーは、広島県広島市佐伯区にて建設を進めていた「せとうち広島工場」を2025年1月13日から操業開始すると発表した。カルビーが国内に工場を新設するのは約19年ぶりとなる。
生産ラインの自動化・省力化を進めるため、IoT技術を活用した次世代工場モデルを展開、自動搬送ロボットを導入、将来的には生産ラインの遠隔監視等によるリモートワークの導入を進める考え。
人と地球の笑顔をつくりだす、未来を形にする工場
せとうち広島工場は、「人と地球の笑顔をつくりだす、未来を形にする工場」をコンセプトに、優れた環境性能・生産性向上・作業環境改善を実現する最新鋭マザー工場。
再生可能エネルギーや循環型エネルギーシステムの導入により、廃熱や排水、廃棄物を有効活用し、環境負荷を低減。温室効果ガス総排出量50%減・廃棄物排出量50%減・水の総使用量30%減(※対広島西工場2019年3月期実績)の達成を目指す。なお、再生可能エネルギー由来のCO2フリー電力の調達も行うことで、再エネ電力100%(CO2フリー電力100%)を実現する。
また、DX等の先端技術を活用し、生産ラインの自動化・省力化を進めるとしており、IoT技術を活用した次世代工場モデルを応用展開し、より高度な品質管理や高効率な多品種少量生産、将来的には生産ラインの遠隔監視等によるリモートワークの導入を進める。
これら諸施策の導入により、労働生産性(従業員一人あたり)の約6割向上を図り、重筋作業の負担軽減や温熱環境の改善、LGBTQに配慮した厚生エリア等、安全性と多様性を両立した従業員にやさしい職場環境を実現するとしている。
「せとうち広島工場」の取り組みについて
「せとうち広島工場」のコンセプト
「人と地球の笑顔をつくりだす、未来を形にする工場」
主な取り組み
1:「じゃがいもを使い尽くすエネルギーシステム」 ~メタン発酵・廃熱水分回収・バイオマスボイラの導入~
工場で使用するじゃがいもを余すことなくエネルギー等に転換することで、省エネ・脱炭素化・廃棄物削減に寄与する。
・じゃがいも残渣をメタン発酵し、得られたバイオガスで蒸気を生成
・じゃがいもを揚げた際に発生する廃蒸気を水と熱に分解して回収。水はじゃがいも洗浄に利用し、熱は温水の生成に再利用
・半製品ロス(焦げ・割れ)をバイオマス燃料として活用し、CO2フリーの蒸気を供給(将来導入予定)等
2:「探さない・運ばない・間違えない・書かない・重くない」 ~DX技術を活用した自動化・省力化の取り組み
滋賀県湖南市の湖南工場に実装しているIoT技術を活用した次世代工場モデルを応用展開するとともに、食品業界NO.1レベルの自動化を行い、従来の働き方からの転換を進める。
・じゃがいも前処理(検査・トリミング等)の自動化
・製品や原材料・包装資材の自動搬送
・製造ラインの遠隔監視・外部接続(工場リモートワークへの挑戦)等
3:従業員がイキイキと働ける。健康的で誇れる職場環境 ~安全性と働きやすさの両立
瀬戸内海に面した立地を活かし、食堂や休憩スペース等の厚生エリアは眺望と採光を確保した快適な空間を実現する。
せとうち広島工場の概要
名称 | せとうち広島工場 |
---|---|
所在地 | 広島県広島市佐伯区五日市港1-2-3 |
敷地面積 | 100,010m² |
竣工日 | 2024年6月28日 |
操業開始日 | 2025年1月13日予定 |
建物 | 生産棟(鉄骨4階建て、延床51,164㎡)、 原料供給棟(鉄骨平屋建て、延床3,675㎡)の2棟で構成 |
主な製造商品 | ポテトチップス、堅あげポテト、Jagabee、サッポロポテト |
生産能力 | 年間約280億円 |
従業員数 | 約280名(2025年4月予定) |
カルビー株式会社 代表取締役社長兼CEO 江原信 氏コメント
カルビーグループは、成長戦略「Change2025」にて、国内コア事業における次世代型工場の基盤構築を掲げています。創業の地・広島で、いよいよ「せとうち広島工場」が操業します。今後は、既存拠点および関東エリアに建設予定の新工場(茨城県下妻市)とともに、国内地域間の需給バランス全般の最適化と効率的なサプライチェーンの実現を目指してまいります。
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カルビー株式会社
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