日本通運の「誰にもやさしい倉庫」プロジェクト、自律型協働ロボットAMRを採用 歩行困難者も施設内作業を行える環境の実現へ

GROUNDは、自律型協働ロボット(AMR)「PEER 100」を、NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、日本通運に導入したことを明らかにした。

今回の導入は、日本通運が推進する「誰にもやさしい倉庫(NX Universal Harmonious Work Warehouse)」プロジェクトの一環として実施され、広い施設内での搬送を支援するものである。


日本通運の「誰にもやさしい倉庫」プロジェクトとは

少子高齢化による労働力不足や、EC(電子商取引)の拡大に伴う物流需要の増加により、物流業界では生産性向上と人材確保が喫緊の課題となっている。

日本通運の「誰にもやさしい倉庫」プロジェクトは、先進的なロジスティクスロボットや作業補助機器の導入と職場環境の整備を通じて、これまで働くことが困難だった人々の障壁を取り除くことを目指す取り組み。

この取り組みでは、電動車いす、追従ロボット、AMR(自律走行搬送ロボット)を活用し、最先端の物流施設の構築を目指している。


「PEER 100」の導入による効果

今回導入されたGROUNDの自律型協働ロボット「PEER 100」3台は、物流施設内のピッキング作業や工程間搬送を支援するAMRである。


誰にもやさしい倉庫プロジェクトでは、広い施設において、ステーションから出荷場所までの無人搬送を行うことで、スタッフの歩行距離を削減し、作業負担の軽減に貢献する。また、「PEER 100」を含むさまざまなソリューションを組み合わせることで、歩行が困難な方も施設内作業を行える環境を実現した。



自律型協働ロボット「PEER」シリーズの特長

柔軟な導入が可能

AGV(無人搬送車)は、磁気テープやQRコードなどの誘導体を必要としますが、「PEER」シリーズはSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を搭載しており、施設内の環境をリアルタイムで認識しながら最適なルートを選定し、自律走行できます。レイアウトの変更にも柔軟に対応し、固定の経路を設けることなく、自由な動線での搬送が可能。

簡単な操作と迅速な導入が可能

「PEER」シリーズは、Wi-Fi環境下で稼働し、タブレットやPCの専用インターフェースを通じて簡単に操作・管理が可能。また、AGVのような大掛かりな導入工事が不要なため、短期間での導入が可能となっている。

「誰にもやさしい倉庫」プロジェクトでは、新たにPicoCELAのメッシュ型無線アクセスポイントを設置。有線LAN敷設工事を不要にすることで、工期の短縮や工事費の削減を実現しました。「PEER 100」の導入から稼働開始までをわずか5日間で完了した。

安全性能の向上

「PEER」シリーズは、複数のセンサー(LiDAR、カメラ、超音波センサー)を搭載し、周囲の人や障害物を検知しながら安全に移動することができる。特に、施設内での混在環境に適した設計となっており、作業員が行き交う中でもスムーズな搬送が可能だ。

効率的なバッテリーマネジメント

「PEER」シリーズは、長時間稼働が可能なバッテリーを搭載し、自動充電機能により常に最適な運用が可能。1回の充電で8~10時間の連続稼働が可能であり、稼働状況に応じて最適な充電タイミングを自律判断する。

今後の展望

GROUNDは、2024年より自社開発の物流施設統合管理・最適化システム「GWES」をNXグループのグローバル標準倉庫管理システムと連携し、人員配置と在庫配置の最適化を支援しており、今後も「PEER」シリーズのさらなる導入を進め、本プロジェクトの複数拠点展開を支援するとともに、多様な従業員が働きやすい環境の整備に貢献するとしている。

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ロボスタ編集部

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