アリババの位置情報サービス「Amap」は、エンボディドAI「ABot」の全面的な刷新を発表した。新たに「ABot-N1」「ABot-M0.5」「ABot-ER」「ABot-AgentOS」「ABot-C0」の5モデルを投入し、主要な課題の解消を目指す。
同社によると、広く使われる17のベンチマークで最高水準(SOTA)の成果を達成した。
ナビゲーションと操作を担う基盤モデル
「ABot-N1」は、開放環境でのロボット移動を支援する汎用ナビゲーション基盤モデルである。長距離推論を担う低速モジュールと、リアルタイム制御を担う高速モジュールから成るデュアルシステム構成を採用し、ナビゲーションエラー発生時には低速モジュールの推論に基づく視覚判断へ切り替える。ピクセル単位の思考連鎖処理も導入し、視覚情報と言語ベースの論理を組み合わせて判断過程を追跡可能にした。屋外ナビゲーションの成功率は92.9%に達した。
「ABot-M0.5」は移動と物体操作を協調させる汎用マニピュレーション基盤モデルである。移動と操作を2系統のアクションストリームに分離し、フレーム単位の暗黙的アクションで視覚・手・移動を細かい時間軸で整合させる。
ノイズを含む視覚予測からも動作生成を継続する「ドリーム・セルフヒーリング」という学習手法により、微小なずれによる失敗を低減した。RoboCasa-365でのテストでは、複雑タスクで従来手法比20.4%、基本タスクで10.6%の性能向上を示した。
記憶と実行を担うエージェント層
「ABot-ER」と「ABot-AgentOS」は身体性エージェント層を構成。「ABot-ER」は知覚から行動までの意思決定を支援し、物体・空間・タスク間の関係性を推論する。3つのベンチマークでSOTAを達成し、複数の研究機関が公開するベンチマーク「Embodied Arena 2D-EQA」では発表時点で首位となった。
「ABot-AgentOS」は計画を実行可能な行動へ変換する仕組みで、計画・ツール利用・実行・検証をロボット本体から切り離し、プラグイン形式のスキルによって多様なロボット形態に接続。ヒューマノイド、四足、車輪型のロボットに対応し、タスクや時間をまたぐマルチモーダルな長期記憶機能も備える。
失敗したタスクの軌跡をもとに記憶を最適化し、過去の経験を今後の意思決定に反映できる。ABot-ERとABot-AgentOSはタスク経験を長期記憶や意思決定の参照情報へ変換し、ローカルな私的記憶の安全性を保ちながら、他モデルが利用できる共有資産としてABotシステム全体へ還元する。
運動制御を担う「ABot-C0」は、ABotシステムによる意思決定を物理的な動作へ変換するモデルで、四足ロボット向けの統一的な行動基盤を構築し、異種ロボット間の協調動作にも対応している。
刷新後の「ABot」システムは、実世界の開放環境においてロボットが学習と適応を継続できるよう設計されている。