藤田医科大学と川崎重工業は、医療従事者の負担軽減と業務効率化により、さらに質の高い医療の持続的提供の実現に向けた取り組みで協力している。その1つとして、2022年2月4日から2月15日まで藤田医科大学病院にて「アーム付きサービスロボット」と「屋内位置情報サービス」(iPNT-K)の実証実験を実施したことを川崎重工が発表した。
この取り組みは2022年度に藤田医科大学病院での導入をめざしている。実証実験は3段階を予定していて、2021年10月に実施したフェーズ1に続く取り組み、「フェーズ2」として実施された。フェーズ2は、自律走行機能・エレベータ連携機能を有したアーム付きロボットによる別フロア間搬送の検証(検体配送・見守り)、そして、iPNT-KTM を活用したロボットの位置情報の把握。
ロボット活用により、医療従事者の負担軽減や業務効率化へ
日本では、高齢化に伴う「患者数の増加」や、少子化による労働人口減少で「医療従事者の確保」が課題となっている。特に新型コロナウイルス感染症と戦う最前線の医療現場においては、感染予防の観点からロボットをはじめとする非接触サービスに非常に高い期待が寄せられている。
こうした事情を背景に、医療現場におけるロボットの活用によって、医療従事者の負担軽減や業務を効率化し、患者や専門業務に向き合う時間を最大化することで、より質の高い医療を持続的に提供できる環境を整えることをめざしている。
川崎重工のアーム付きサービスロボットを活用し、安全・安心を確保しながら、検査室からスタッフステーションまでの検体搬送業務の代替や、スタッフが少ない夜間病棟の見回りを行い、カメラ機能で患者の状態変化の有無を確認することで、ロボットが異常を発見した際には、スタッフステーションにアラームを出す「見守り機能」を検証した。なお、ロボットの位置情報の把握には「iPNT-K」を使用している(iPNT-Kは川崎重工が提供する屋内位置情報サービスでパソナテックと開発したもの)。
従来の業務をサービスロボットで代替する実証実験
実証目的は、従来業務方法をサービスロボットで代替することへの課題抽出と、使いやすさを追求すること。
この実証実験は、「フェーズ1」から「フェーズ3」の3段階を予定。今回は「フェーズ2」に該当する。
■フェーズ 1
自律走行機能を有したロボットによる同一フロア内搬送の検証 + 人のエレベータ操作。
補助あり別フロア移動の検証
2021年10月23 日(土)~10月31日(日)(実施完了)
■フェーズ 2
自律走行機能・エレベータ連携機能を有したアーム付きロボットによる別フロア間搬送の検証(検体配送・見守り)
iPNT-KTM を活用したロボットの位置情報の把握
2022年2月4日(金)~2月15日(火) (今回、実施完了)
■フェーズ 3
サービスロボットによる病院内作業と病院側システムとの連携検証
2022年4月以降(予定)
アーム付きサービスロボットは代替可能な業務が多岐に渡り、将来的にはインフラ(エレベータ・ICカード)との連携だけでなく、アームでモノを掴み・運び・渡す等などのアーム特有の機能の活用が可能。
川崎重工は「今回の実証実験を通じて藤田医大と川崎重工は、それぞれの知見を活かし、医療現場における労働力不足の解消や医療従事者の負担軽減、また、新型コロナウイルスの感染防止対策など社会の課題解決に寄与していきます」としている。
川崎重工が提供する屋内位置情報サービス「iPNT-K」
https://www.khi.co.jp/news/detail/20210709_2.html
2021年10月18日付けプレスリリース
「藤田医科大学病院でスマートホスピタル実現に向けた
サービスロボット実証実験を開始〜医療従事者の負担軽減、“人”と“ロボット”が共存する近未来医療環境の構築へ〜」
https://www.khi.co.jp/pressrelease/news_211018-1_1.pdf