イクシスは、鹿島、カジマメカトロエンジニアリングと共同で、設備工事に不可欠な「換気・空調設備の風量測定」(以下、風量測定)業務を、全自動かつ高精度に行う風量測定ロボット「Air-vo」を開発した。
Air-voは現場での風量測定箇所や壁位置等の登録が不要なことに加え、測定ルートの設定、風量の測定、その結果を記録した帳票の打ち出しまでを自動で行うことができる。
鹿島が施工中の5現場でAir-voを実証した結果、風量測定業務を約6割削減できることを確認した。
本取組みの背景
建物の空調設備の性能を担保するための風量測定検査では、全ての空調設備の吹き出し口(制気口)を個別に測定し、規定風量が吹き出ていることを確認のうえ、帳票に記録する必要がある。これらの検査は主に建物竣工前の繁忙期に実施することに加えて測定箇所が非常に多いことから、検査を担当する技能者の大きな負担となっていた。昨今は技能者不足が深刻化していることもあり、風量測定業務の省力化・省人化が喫緊の課題となっている。
Air-voの特長
1:現場での測定箇所登録が不要
現場への搬入前に、BIM(Building Information Modeling)データを基に測定箇所の地図を作成することで測定対象となる制気口とフロア壁面の位置をAir-voにあらかじめ登録できるため、現場での測定箇所や壁面の登録作業が不要。
2:高精度な位置合わせ機能
登録されている地図データを基に、自機と壁面との距離をセンシングしながら自動で制気口位置まで移動し風量を測定。制気口を画像認識して自機位置を微調整できるため、レタン一体型制気口(システム天井用照明器具に取り付けられる制気口)など高精度な位置合わせが必要な箇所も正確な測定が可能。
3:全自動/半自動測定に対応
動作開始を指示するのみで、事務所専有部の大半に設置してあるアネモ型制気口(天井に設置される空調の吹き出し口。複数の羽を重ねたような断面が特徴で、商業施設やビルなど幅広い建物に設置される)を一括自動測定が可能。また、手動で機器を移動させた後に詳細な位置合わせ以降の作業を自動で行う半自動測定にも対応可能。
測定箇所のBIMデータに紐づいた帳票を自動で出力
測定結果を記録した帳票が自動で出力されることに加え、帳票には制気口のBIMデータIDが記載されているため、測定箇所と風量データの照合が容易。
5:運搬容易なサイズ
付属品を含め4つの専用キャリーケースに分割して格納できるため、宅配便で全国各地の現場に輸送可能。また、組立後の大きさも一般的なドアを通過できるサイズであり、本設エレベーターにも積載できるため、現場内での運搬も容易。
Air-vo基本情報
主な適用対象 | システム天井 |
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測定可能天井高 | 3.8m |
組立後の大きさ | 650×850×1,850mm |
重量 | 梱包後 100kg |
現場での実証結果
Air-voを鹿島が施工中の5つの建築現場において実証をおこなった。その結果、風量測定業務1回に要する技能者を従来の3人から1.25人(ロボットの運用準備に0.25人、測定業務に1人)に削減できることを確認した。これは、延床面積30,000㎡の中規模オフィスビルで風量を測定すると仮定した場合、従来は約240時間要していた業務時間が100時間まで削減できることに相当する。
今後の展開
イクシス、鹿島、カジマメカトロエンジニアリングは今後もAir-voの現場普及と更なる機能の改善を進め、建設業界全体の生産性向上および働き方改革の実現に貢献してくとしている。