自動車学校に「AI教習車」導入を開始 企業向け研修やペーパードライバー講習に自動運転やAI画像解析技術を積極的に活用

アサヒロジスティクス株式会社は、川越自動車学校に7月31日より「AI教習車」を導入していることを発表した。「AI教習車」は、センサーによって自車両と他車両の位置や動きを記録することができ、また車内カメラにより運転者の確認行動の有無を判断、それらの情報を検定時の評価基準に基づいて評価することができる。また、運転レポートや記録動画の再生により、受講者が自身の運転を客観的に確認することができる。

川越自動車学校では、この「AI教習車」を「一般企業向けの安全運転研修」や「ペーパードライバー講習」に導入している。
なお、埼玉県内での指定教習所での「AI教習車」の導入は初という。

AI教習車(外観)


「AI教習車」を安全運転研修に活用

アサヒロジスティクスは、1,500台のトラックと2,500人超のドライバーを持つ物流インフラ企業。毎日500万人の食生活を支えているという。有限会社川越自動車学校はそのグループ会社のひとつ。
現時点では、自動車運転免許を取得するための教習に「AI教習車」を使用することはできない。そのため「一般企業向けの安全運転研修」や「ペーパードライバー講習」における技量の確認や自己啓発を目的に導入されている。
なお、最先端の技術を事前に保持しておき、AI教習車が普及する時代に備える、研修内容の充実や受け入れ体制の強化、将来的に懸念されている指導者の高齢化によるスタッフ不足に対応することにも繋がると判断した。

車両上部に取り付けたセンサーで位置や周囲の情報を把握(自動運転の要素技術)

車内に取り付けたカメラで運転者の顔の向きを把握(AI画像解析を安全運転支援に活用)


AI教習車の特徴

ここでの「AI教習車」は、AIや自動運転の技術を活用し、自動車学校での技能教習をサポートするシステムを搭載した教習車をさす。(引用元:AI教習所株式会社)


自社位置と周囲のクルマ、運転車の動きをAIが認識

各種センサーを車両に後付けし、自動運転技術の活用によって、自身の車両と、周囲の車両との位置関係や情報を認識し、記録することができる。また、車内にカメラを搭載し、画像解析AIが運転者の目、鼻、耳などの動きから確認行動の有無を把握する。その他、車速や舵角などの走行情報も取得しており、これらのデータから検定時の評価基準に基づいて評価する仕組みとなっている。教習終了後はレポートとして評価内容を確認するほか、動画にて、減点された項目について確認することができる。

運転終了後は搭載されたタブレット画面で減点箇所などの確認を行うことができる

運転する姿勢は、乗れば乗るほど我流になってくる傾向が高くなるという。AI教習車では、検定基準に沿って正確に評価することができ、そのレポートや運転動画を活用することで、受講者は普段の運転から忘れてしまっている確認行動や運転姿勢を見直す機会を提供することができる。


運転の記録はレポートとしてデータを抽出することができ、自身の振り返りや成果物としての保管が可能


AI教習車導入の背景と目的

川越自動車学校では、通常の運転免許証取得教習はもちろん、一般企業向けの安全運転研修やペーパードライバー講習も実施している。これらは、交通安全の啓蒙の1つとして重要と考え、如何にして講習の内容をより満足いくものにしていくかを、重要な課題と位置づけている。

「AI教習車」の導入により、評価レポートの作成、受講者自身が不足している運転スキルや運転姿勢や意識等を動画にて振り返ることができ、その結果、研修内容をさらに充実させることが可能だとしている。


教習指導員の高齢化問題

また、自動車教習所業界では、教習指導員の高齢化による将来的な指導員不足は、課題の1つとなっている。
2021年に全日本指定自動車教習所協会連合会が発表したところによると、10年後には教習生に対して指導員が最大35%不足するとの試算があるという。現在はAI教習車を自動車運転免許取得のための教習に使用することができないが、前もって準備をしておくことで、将来的な指導員不足という課題への対応にもつながるものと考えた。

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ロボスタ編集部

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