アクセンチュアとNVIDIAは、企業のAI導入を迅速に支援するため連携、両社によるパートナーシップを拡大することを発表した。
具体的には、アクセンチュアが「NVIDIA AIスタック」をフル活用できる「Accenture AI Refinery」(アクセンチュアAIリファイナリー)を発表。更に、アクセンチュアはこれを進めるために新しく「NVIDIAビジネスグループ」を設立した。
エンジニアリング・ハブのネットワークを欧州、アジア、北米に開設し、約30,000人の専門家が世界中でトレーニングを受け、AIエージェントを使用してクライアントの業務プロセスの改善とAI導入の拡大を支援する、としている。今回の発表に伴い、アクセンチュアとNVIDIAはグローバルな報道関係者向けに説明会を開催した。
アクセンチュアが「NVIDIAビジネスグループ」を設立
世界120カ国以上で、77万4,000人の従業員が展開しているアクセンチュアの実務的なAIノウハウと、NVIDIAが持つGPUやそれを活用するためのソフトウェア・プラットフォームなどを連携させ、更に多くの企業が生成AIによる「カスタマイズしたAIエージェント」を構築し、実際の業務効率化に成果を出す「産業用AI」や「ソブリンAI」の導入を積極的に推進していく。
■ Accenture + NVIDIA: Marketing Reinvention
生成AIが注目を集め、アクセンチュアの最新の会計年度において受注額は30億ドルに達したという。アクセンチュアによる新しいNVIDIAとのビジネスグループは、アクセンチュアの「AI Refinery」を活用し、クライアントがエージェントAI機能の基盤を構築することを支援していく。「AI Refinery」は、NVIDIA AI Foundry、NVIDIA AI Enterprise、NVIDIA Omniverse など「NVIDIA AIスタック」全体を使い、プロセスの改革、AIを活用したシミュレーション、ソブリンAI などをさまざまな分野で推進していく。
生成AIに注目が集まると同時に、AI導入で成果をあげることができない企業も多いのが実状だ。これを今後のAI普及の課題と捉え、アクセンチュアとNVIDIAはそれぞれの長所を活かし、業務の効率化や運用を積極的に提案していくとみられる。また、中核には専門知識を持つカスタマイズされたエージェントAIの開発を重視している。アクセンチュアは「テクノロジービジョン2024」などにおいて、以前より「AIバディ」の必要性を提案していて、これは「カスタムエージェントAI」とコンセプトが通じるものがある。
・アクセンチュア NVIDIA ビジネス グループが新たに発足し、30,000人の専門家が世界中でトレーニングを受け、AIエージェントを使用してクライアントの業務プロセスの改革と企業へのAI導入の拡大を支援する
・アクセンチュアの「AI Refinery」プラットフォームは、企業がNVIDIA AIスタック全体を使用してカスタムエージェントAIの導入を迅速に開始できるように支援する
・アクセンチュア「AI Refinery」エンジニアリング ハブのネットワークが欧州、アジア、北米に開設され、57,000人のアクセンチュアAI関係者をサポートし、NVIDIA AIを使用した大規模な運用、エージェント・アーキテクチャ、基盤モデルの開発をサポートする
・「AI Refinery」に組み込まれた自律エージェントの導入により、アクセンチュアのマーケティング機能で早期成果を達成する
アクセンチュアとNVIDIAのCEOのコメント
アクセンチュア「AI Refinery」は、パブリック・クラウドとプライベート・クラウドの全てのプラットフォームで利用可能となり、他のアクセンチュア・ビジネス・グループとシームレスに統合できる。それにより、SaaSおよびクラウドAIエコシステム全体で、AIの導入と実践を加速する考えだ。
アクセンチュアの会長兼 CEO であるジュリー スウィート氏は次のようにコメントしている。
ジュリー スウィート氏
NVIDIAとの提携により、当社は新たな境地を切り開き、お客様がジェネレーティブ AI を改革の触媒として活用する最前線に立つことを可能にします。「Accenture AI Refinery」は、企業がプロセスと業務を再考し、新しい働き方を発見し、企業全体にAIソリューションを拡大して、継続的な変化を推進し、価値を創造する機会を創出します。
NVIDIA の創設者兼 CEO であるジェンスン フアン氏は次のようにコメントしている。
ジェンスン フアン氏
AIは企業がイノベーションをより迅速に拡大できるよう支援します。NVIDIAのAIプラットフォームと、アクセンチュアの「AI Refinery」、そして私たちの専門知識を組み合わせることで、企業や国家がこの変革を加速し、今までにない生産性と成長が推進できるようになります。
アクセンチュア NVIDIAビジネス・グループが「企業向けエージェントAI」普及を加速
新しいアクセンチュア NVIDIA ビジネス グループは、生成AIの普及を加速し、クライアントが生成AIの次世代フロンティアとして期待されている「エージェントAIシステム」を拡張して、生産性と成長を新たなレベルに引き上げることを支援するという。
大規模な投資がおこなわれ、クライアントがプロセスを改革し、企業AIの導入を拡大することを、世界中でトレーニングされた30,000人超の専門家たちが支援する、としている。
生成AIの飛躍的な進歩によって高度な「エージェントAIシステム」が実現する。人はプロンプトを入力し、既存のビジネスステップを自動化することができる。エージェントAIシステムはユーザーの意図に基づいて行動し、新しいワークフローを作成し、環境に基づいて適切なアクションを実行して、プロセスや機能全体を改革することもできるようになるとされている。
インドサットがインドネシア初のソブリンAIを発表
アクセンチュアとNVIDIAは、クライアントがエージェントAIシステムを導入し、拡張できるよう支援をはじめている。例えば、インドネシアを拠点とする電気通信サービス会社「インドサットグループ」は、インドネシア初のソブリンAIを発表した。これにより、企業はデータ・ガバナンスを確保し、規制を遵守しながら AIを安全に導入できる。インドサットはアクセンチュアと連携して、インドサットのデータセンター上に「NVIDIA AIソフトウェアとアクセラレーテッド コンピューティング」など、業界や組織固有のソリューションを構築し、現地の企業をサポートしている。
はじめは金融サービスセクターに重点を置いた。「AI Refinery」プラットフォームを搭載した新しいソリューションは、インドネシアの銀行がAIを活用して、競争の激しい市場で収益性、運用効率、持続可能な成長に貢献しているという。
ロボティクス向け「NVIDIA NIM Agent Blueprint」
アクセンチュアは、仮想施設のロボット群シミュレーション用の新しい「NVIDIA NIM Agent Blueprint」も発表する。これは「NVIDIA Omniverse」「Isaac」および「メトロポリタン」ソフトウェアを統合したもので、産業企業がロボットで操作する自律的なソフトウェア定義の工場や施設を構築できるようにするもの。
アクセンチュアは、傘下にある製造の自動化企業のエクリプス・オートメーション(Eclipse Automation)でこれらの新機能を活用し、クライアントに代わって設計の50%を高速化し、サイクルタイムの30%短縮を実現した。
AIエンジニアリングハブのネットワーク
アクセンチュアは、高度なエンジニアリングスキルと、エージェントAIシステムを使用して、大規模な業務を変革するための技術的能力を備えたハブのネットワークを導入しているという。
これらのハブは、基盤モデルの選択、微調整、大規模な推論に重点を置いている。これらはすべて、開発の規模が大きくなると、精度、コスト、遅延、コンプライアンスの面で大きな課題となるが、アクセンチュアはカリフォルニア州マウンテンビューとバンガロールの既存のハブを基盤として、シンガポール、東京、マラガ、ロンドンに「AI Refinery」エンジニアリングの拠点を追加する。
アクセンチュアがエージェントAIを採用
Eclipse AutomationでのエージェントAIの使用に加えて、アクセンチュアのマーケティング部門は、「AI Refinery」プラットフォームを自律エージェントと統合し、キャンペーンをより迅速に作成し、実行できるようにしている。これによって、手作業のステップが 25~35%削減され、コストは6%削減、市場投入までの時間は25~55%短縮されることが見込まれている。
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