自動運転車と道路のセンサーやカメラが通信で連携 NECが路車協調システムを各地で実証 安全な自動運転の社会実装の早期実現へ

NECは、国土交通省道路局の公募「路車協調システム及び走行空間の技術的検証を目的とした自動運転実証実験」に基づき、茨城県日立市、群馬県渋川市、石川県小松市、奈良県、奈良県宇陀市、鳥取県鳥取市の6自治体で、自動運転を支援する路車協調システムの実証を2024年11月から2025年2月にかけて順次実施した。

なお、本公募にて、路車協調システム実証実験は22自治体が採択されている。


路車協調システムとは

路車協調システムとは、路側に設置したセンサーやカメラ、信号機や電灯と自動車が通信して連携、信号あり交差点で右折する際に遠方から接近する対向車両の認識を補助したり、見通しが悪い信号なし横断歩道の安全確認などの安全確認を、路上の機器と通信しておこなうこと。車載センサーでは困難な安全確認を道路が補助する。

近年、少子高齢化の進行や都市部への人口集中などに伴い、地方では地域公共交通の維持・確保が求められています。その対策の一つとして自動運転による移動サービスの実用化が期待されており、全国各地で実証実験が行われている。政府においても、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の中で地域限定型の無人自動運転移動サービスを2025年度までに50ヶ所程度、2027年度までに100ヶ所以上の地域で実現する目標を掲げている。

一方で、一般車両や歩行者、自転車が混在する複雑な道路環境である市街地部の交差点などにおいては、自動運転車両の車載センサーのみでは状況把握が困難な場合があるという課題が見えてきている。

NECは、将来のレベル4自動運転の早期社会実装を見据え、路側センサーにて認識した道路交通状況を自動運転車両や遠隔監視室へ情報提供を行う路車協調システムを用いて、自動運転運行の安全性及び円滑性の向上を目指している。

2023年度の実証に引き続き、今回実施された実証では「信号あり交差点にて右折する際の遠方から接近する対向車両の認識」や「見通しが悪い無信号横断歩道の周辺における他交通参加者の認識」など、車載センサーのみでは道路状況の把握が困難なケースを想定して、路車協調システムの技術的な検証を行った。

2023年度の実証では路側センサーで取得し、分析した情報を自動運転車両のタブレット端末に送信し、乗車した補助員が確認することで路車協調システムの有効性を検証したが、今回の実証では、一部地域において路車協調システムの情報を直接、自動運転車両のシステムに提供した。

今後は実際に路車協調システムの情報を自動運転の走行操作に適用して安全かつ円滑な自動走行を実現できるよう、更なる開発や関係各社との連携を進めるとしており、今回の実証を通じて得られた知見を活かし自動運転の社会実装の早期実現に貢献するとしている。

本実証の概要

場所:茨城県日立市、群馬県渋川市、石川県小松市、奈良県、奈良県宇陀市、鳥取県鳥取市
期間:2024年11月中旬から2025年2月下旬にかけて各自治体で約1週間~1ヶ月間実施

本実証で用いた路車協調システムと検証の内容

NEC想定の路車協調システムの基本的な構成

路側に設置した4Kカメラの映像を分析して歩行者や自転車などの交通参加者、車両の位置や速度などの情報を自動運転車両の車載システムやタブレット端末に送信。これらの路側センサーから得られた情報の検知精度や低遅延性、自動運転車両の走行における有用性を検証した。


自動運転車両システムとの連携イメージ

さらに、今年度は自動運転車両メーカーと連携し、路側に設置した4Kカメラ映像の分析結果を直接車両システムへ伝送。自動運転制御システムの認知結果と路車協調システムの情報を統合し、路車協調システムの情報が自動運転の走行判断を補助できることを確認した。また、伝送した情報は自動運転車両システムのモニタに重畳表示した。

各自治体の実証コースでの実施ユースケース

カメラ映像と設置機材のイメージ(鳥取市)

茨城県日立市:無信号交差点等で死角となる歩行者との衝突回避支援等
群馬県渋川市:ロータリー内等での死角情報や駐車車両等の情報提供等
石川県小松市:遠方の対向車両の情報提供による右折支援等
奈良県:ロータリーや駐車場から合流する際の死角情報の提供等
奈良県宇陀市:狭隘な直角屈曲部での対向車とのすれ違い回避支援等
鳥取県鳥取市:曲線路先の対向車両状況の提供による右折支援等


検証の結果から、各自治体での実施ユースケースのように車載センサーの検知範囲外の遠方車両の先読み情報の提供や、自動運転車両から死角となる箇所の情報提供は自動運転車両の走行支援につながると考えている。

NECは今後も、デジタルの力を活用し、人とインフラとモビリティが協調する仕組みを構築することで、安全・安心で人にやさしいまちづくりに貢献するとしている。

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ロボスタ編集部

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