国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)とAI・ロボティクス企業の株式会社Forcesteed Roboticsは、生成AIを活用したフィジカルAI搭載の屋内搬送ロボットについて、リスク抽出と低減方策に関する共同研究を行った。
研究成果は論文「生成AIを用いたフィジカルAI搭載屋内搬送ロボットにおけるリスクの抽出とリスク低減方策」としてまとめられ、2026年9月3日に日本ロボット学会(会場: 金沢大学 自然科学本館)で発表される予定だ。
ファミリーレストランでの配膳業務を想定して検証
生成AIは文章や画像の生成にとどまらず、カメラやセンサーから得た情報をもとにロボットの行動を判断する用途にも広がっている。AIがロボットなどの身体を通じて現実世界を認識・判断・動作する仕組みは「フィジカルAI」と呼ばれ、人手不足への対応や業務の自動化に向けた期待が高まっている一方、認識や判断に誤りや遅れが生じれば、その影響は画面上の応答にとどまらず、ロボットの停止や移動、回避行動といった現実空間での動作に直結する。
特に飲食店や商業施設など人とロボットが同じ空間で活動する場所では、人の動きや椅子・荷物の位置が絶えず変化するため、目的地までの移動可否だけでなく、周囲の人や物を正しく認識できるか、異常時に停止・復旧できるか、誰の指示を優先するかといった観点を含めた安全性の確認が求められる。
今回の研究では、ファミリーレストランでの配膳業務を具体的な利用場面に設定し、生成AIを搭載した屋内搬送ロボットにどのようなリスクが生じ得るか、そのリスクをどう低減すべきかを検討した。
3Dシミュレーションと実機の両面で検証
検証には3Dシミュレーション環境と、産総研内に構築したファミリーレストランを想定した模擬環境の両方を用いた。具体的には、厨房からテーブルまでの基本的な搬送、進行方向にいる人や横切ろうとする人への対応、子どもが手を振るなど周囲の状況に応じたふるまい、従業員と来店客からの指示を区別する権限管理といった場面を検証した。

ロボットが実際に動作したかどうかだけでなく、生成AIが周囲をどのように認識し、どのような判断を下したのかを確認できる構成とすることで、期待した動作に至らなかった場合に、環境認識・生成AIの判断・ロボット制御のどの段階に原因があるのかを切り分けながら検証を進めた。
その結果、シミュレーションと実環境の違いや、ロボット自身の大きさ・可動範囲、周囲の環境、AIによる認識・判断の組み合わせによって、期待どおりの動作に至らない場合があることが確認された。
異常時の復旧短縮などさらなる検証へ
Forcesteed Roboticsは今回の共同研究において、屋内搬送ロボットを用いた検証実験を担当した。同社は「世の中の駆動系に人工意識FSR-ACを統合し、機械と人が協調して新たな価値を生み出す未来を創る」をミッションに掲げ、30社以上の企業・研究機関と連携しながら、独自技術「Agentic Vision」を中核としたフィジカルAI・ロボティクスの研究開発を推進している。
ロボット向けAIアプリケーション「Luqua」「ARIA」「AKASHI」「LEIVOR」の開発に加え、ロボットプラットフォーム「Guardian」や3Dロボットシーンビルダ「3dbuilder」も展開し、製造・物流・点検・サービスなど幅広い分野でAI・ロボティクス技術の実用化を進めている。
両者は今後、今回の検証で得られた知見をもとに、異常発生時の復旧時間の短縮、人の行動予測、ロボット自身の状態把握、認識結果の信頼度を踏まえた判断などについて、追加の検証を進める予定としている。

生成AIを搭載したロボットが実際のサービス現場で安全に稼働するための知見として、今後の発表内容にも注目が集まりそうだ。
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