MujinOS搭載ロボット導入事例、フィジカルAI技術を松田電機工業所の入荷・入庫工程に活用

松田電機工業所に導入された通い箱デパレタイズロボット
  • 松田電機工業所に導入された通い箱デパレタイズロボット
  • 3Dビジョンによる混載パレットのスキャンと荷下ろしの様子
  • かんばんを読み取り、後工程に適した向きへ整列させる様子
  • サイズに合わせて爪幅を自動調整する可変ロボットハンド

総合オートメーションテクノロジー企業の株式会社Mujin Japan(以下、Mujin)は2026年9月3日、自動車電装部品メーカーの株式会社松田電機工業所において、通い箱デパレタイズロボット2台を導入し、混載通い箱の入荷・入庫工程を自動化したことを公表した。

Mujinによると、中小製造業において、サイズや形状、積載状態が異なる混載通い箱をロボットで自動荷下ろしする事例は珍しいとのこと。MujinOSを基盤とするフィジカルAI技術により、これまで人手に頼ってきた複雑な荷下ろし作業を自動化している。

導入の背景:構内物流に残されている自動化の課題

自動車部品工場では、複数のサプライヤーから納入される多様な部品が通い箱(コンテナ)に収納され、混載パレットとして搬入される。入荷から保管、生産工程への供給、出荷まで、構内物流は通い箱単位で運用されている。一方、混載通い箱パレットの仕分け工程には、次の課題があった。

  • 形状やサイズが異なる通い箱:通い箱にはさまざまな形状やサイズがあり、経年劣化による変形も見られる。

  • 無数に存在する積載パターン:箱の種類や積載位置、向き、箱同士の隙間がパレットごとに異なる。

  • 安定した把持の難しさ:ロボットが把持できる箱の縁は限られ、箱ごとに適した把持位置や動作を判断する必要がある。

このため、従来のティーチング方式では自動化が難しく、重い通い箱の荷下ろしは人手に頼ってきた。松田電機工業所は、地方工場における採用難への対応と、生産技術・物流の高度化を進める一環として、従来自動化が難しかった混載通い箱の荷下ろし工程の自動化に踏み切った。

導入システムの特長:フィジカルAIで混載通い箱の荷下ろしを自動化

今回、MujinOSを搭載したロボットを導入したのは、入荷時の混載パレットからの荷下ろし工程と、完成品を自動倉庫へ入庫する工程の2カ所である。

3Dビジョンによる混載パレットのスキャンと荷下ろしの様子

3D認識によるデパレタイズ

ロボット上部に設置した3Dビジョンが混載パレットをスキャンし、MujinOSが通い箱の位置や形状、把持に必要な縁を高精度に認識する。その情報をもとに、把持位置とロボットの動作経路をリアルタイムで計算し、荷下ろしを行う。あらかじめ積載パターンを固定できない混載パレットからも、通い箱を自律的に取り出すことができる。

かんばんの読み取りと向き整列

入荷工程では、ロボットが通い箱を把持した後、側面にあるかんばんをスキャンする。かんばんを確認できない場合は、箱を回転させて別の面をスキャンし、かんばんを読み取る。単に箱を取り出すだけではなく、かんばんを読み取り、後工程に適した向きに整えて供給できる点が本システムの特長である。

かんばんを読み取り、後工程に適した向きへ整列させる様子

可変ロボットハンドによる多品種対応と拡張性

ロボットハンドは、箱のサイズに合わせて爪幅を自動調整する。複数規格の通い箱にも、ハンドを交換せずに対応できる。導入後に新たな箱種や品番が追加された場合も、設備全体を作り変えることなく対応範囲を広げることが可能だ。生産品目の変化など、将来的な物流条件の変動にも対応できるため、自動化設備を長期的な経営資産として活用できるという。

サイズに合わせて爪幅を自動調整する可変ロボットハンド

導入効果:省人化と作業負荷の軽減

松田電機工業所は、独自の改善活動「IM(Innovation Movement)」を通じて、生産技術や物流の高度化に取り組んできた。今回の導入により、作業者の負担を軽減するとともに、より付加価値の高い業務へ人材を配置できる生産体制の構築を実現している。本取り組みでは、以下の導入効果が生まれているという。

  • 対象工程の作業人員:3人から0人へ

  • 1日当たりの荷下ろし箱数:5,000箱

  • 作業者が手で持ち上げていた総重量:1日当たり約25t

  • 年間削減工数:5,856時間/年

今後の展望:中小製造業の新しい自動化モデルへ

松田電機工業所は、既存工場の物流動線を大きく変えることなく、特に負荷の大きい混載通い箱の荷下ろし工程を自動化した。MujinOSを搭載したロボットを既存ラインに組み込むことで、作業負荷の軽減と安定した物流運用を実現している。本事例は、投資規模やスペースに制約のある中小製造業にとっても導入しやすい、現実的な物流自動化モデルになるとしている。

松田電機工業所は今後、入荷から生産、出荷までの物流工程全体の高度化を視野に入れている。Mujinは、本事例を通じて、従来自動化が難しかった混載・多品種の荷役工程を自動化し、人手不足や属人化といった課題を抱える日本の製造業の競争力を強化する。

MujinOSについて

MujinOSは、ロボット・AGV・保管システム、ビジョンセンサ等の多様な自動機器をデジタルツイン環境で統合制御する統合型オートメーションプラットフォーム。現実世界で起こる様々な変化に柔軟に対応する高度な自律型オートメーションを行う。

ティーチング不要、動的最適化、データ分析・リモート運用に対応し、産業現場をDX化する。

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