ヴイストン 研究開発用の等身大ロボット「Robovie-R4」を発売 メガローバーVer.3.0を採用 内蔵バッテリーから搭載機器に給電可能

ヴイストン株式会社は親しみやすいヒューマノイドタイプのデザインを採用した大型ロボット「Robovie-R4」(ロボビー・アール・フォー)を発売することを発表した。


等身大ロボット「Robovie-R」シリーズの最新モデル

Robovie-R4はコミュニケーション研究のための等身大ロボット「Robovie-R」シリーズの最新モデル。移動のための台車部分に研究開発用台車ロボットとして定評のある「メガローバーVer.3.0」を採用したほか、上半身の可動軸にはエンコーダー付きDCモーターを用いることにより、コミュニケーションロボットに求められる静粛性と機敏な動作性能を実現。また、複雑化する昨今のコミュニケーション研究の需要に合わせ、様々なセンサーや機材を追加で開発・搭載できるように配慮した設計となっている。本体に内蔵したバッテリーから搭載機器に給電する形で構築することができ、内部機器も含めたロボット全体での自律動作を実現できる。

開発研究用ロボットプラットフォーム「Robovie-R4」

ロボット機器などを活用したコミュニケーション分野での研究・開発は今後ますます重要性が高まってくるものと考えられる。ヴイストンはRobovie-R4の発売を通して、これら分野の研究開発をいっそう促進させるとともに、来たるべきヒトとロボットが共存する社会の実現に向けて積極的に貢献していく。


特徴1.親しみやすいデザインを採用

Robovie-R4は親しみを感じるヒューマノイドタイプの上半身デザインとさまざまな環境で安定して走行できる台車型の移動機構を備え、コミュニケーション研究のためのロボットプラットフォームとして幅広い活用が可能。この特徴を生かし、ヒューマンインタラクションを核として、一般施設での接客・案内用途や、見守りなどの福祉分野での活用、あるいはこれらの用途において複数台あるいは複数種のロボット機材を統合的に制御する形態の研究開発用など、適用する用途に縛られない、幅広い運用に対応可能。

親しみやすいデザインを採用

全体の配色や顔・指先のデザインなどは実績のある旧モデル「Robovie-R3」を踏襲し、同時に使用しても違和感のないものとなっている。また、今回新たに両眼のLEDを追加し、コミュニケーション時に必要なステータスの表現や機体状況の表示など、用途に合わせた活用を可能としている(両眼のLEDは制御をシンプルに行う目的で、標準の状態では左右を一括で制御する仕様)。本体の背面パネルには電圧を表示するディスプレイと非常停止スイッチを標準搭載し、ロボットとしての美しいデザインを損なわず、安定した稼働を実現させることができる。

背面に電圧表示と非常停止スイッチを標準搭載


特徴2.高い拡張性を確保

今回発売するRobovie-R4は台車部分と上半身部分の動力部品および、スピーカーとLEDのみが搭載された仕様となっている。同時にさまざまな用途に合わせたセンサーの追加などが可能な本体構造となっており、内部に設けられた余剰スペースへの機材の搭載や外装を加工しセンサーを追加するなど、導入する現場のニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能。なお、追加する機器の種類によっては、本体購入時に同社でフレーム設計や取り付けが可能である場合もある。(詳細はヴイストン株式会社のお問い合わせ窓口に相談ください)


拡張性の高い本体構造(ROS PC(UM350)オプション搭載時)

本体側面、背面


特徴3.高い走破性能と、高速な走行を実現

Robovie-R4は点字ブロック程度の段差であれば走破できる走行性能を実現している。コミュニケーション研究のフィールドとして、より人間が生活する環境に近いものとすることができ、研究開発の幅が大きく広がる。また、最大速度は実測で1.6m/sとなっており、歩行する人間と併走するなどの活用も可能。

Robovie-R4 走行イメージ(※あらゆる段差を乗り越えられるものではない。また、走行速度は平面において直線走行させた場合の最高速度。転倒のおそれがあるため、段差がある環境や旋回動作を行う場合には、走行速度を遅くさせるなど、十分な安全対策を行うこと。同製品は屋内専用で、屋外での使用は想定していない。)


特徴4.2個のCPUボードを搭載

Robovie-R4には台車部分(メガローバーVer.3.0に相当)と上半身部分にそれぞれCPUボード「VS-WRC058」が搭載されている。台車ロボットであるメガローバーVer.3.0にそのまま上半身部分を搭載した構造となっているといえるため、既にメガローバーVer.3.0を運用している環境においては、プログラムの共用といった観点でRobovie-R4をスムーズに導入することができる。(メガローバーVer.3.0に搭載しているオプション部品について、Robovie-R4にはそのまま搭載できないケースも想定ある)

VS-WRC058はESP-IDF(上半身)あるいはArduino IDE(台車)を用いた制御プログラムの作成に対応している。ROSに対応したファームウェアについては、製品に付属したものをユーザー自身の手でカスタマイズすることも可能。


特徴5.ROS1による制御に対応

Robovie-R4はROS(ROS1)メッセージ通信に対応し、ROSが動作するデバイスとWi-FiまたはUSBケーブルで接続することで、rosserialのパッケージを用いたROS1のメッセージ通信が可能。

・上半身部分のROS対応について
ROS側からRobovie-R4に対して目標ポーズ(各軸の目標角度)やLED制御コマンドを送信可能。また、Robovie-R4に搭載された各エンコーダー値を取得することも可能で、多数の軸が搭載された構造でありながら、容易に制御することができる。

・台車部分のROS対応について
メガローバーVer.3.0の仕様に準じる。

また、同製品には3Dシミュレーターである「Gazebo」用のモデルが標準で付属し、モーションプランニングフレームワークである「MoveIt」にも対応している(目的の動作内容によっては、サンプルコードに含まれない開発が追加で必要となる場合がある)。なお、ROSを動作させるデバイスは別途用意する必要がある。同社が推奨するデバイスの動作環境は次の通り(同製品に含まれないライブラリーなどのセットアップが追加で必要になる場合がある)。

【ROS使用時の推奨動作環境】
OSUbuntu 20.04 (64bit)
ROSROS Noetic
CPUAMD Ryzen™ 5 3550H
RAM16GB
ストレージM.2 SSD 250GB
グラフィックRadeon™ Vega 8 Graphics
(※)上記条件を満たしていても、相性などにより、正常に動作しない場合がある。
(※)仮想環境はタイムラグにより安全な制御が行えない場合があり、推奨していない。


特徴6.専用の無線コントローラーで簡単操作

同製品にはゲームパッド型無線コントローラー「VS-C3」が上半身用と台車用の2個が付属する。PC等を接続しなくてもRobovie-R4を無線操縦することができ、目的に応じた手動での操縦や動作確認等、幅広く活用が可能。


特徴7.容易に開発が可能なプログラム作成環境を付属

Robovie-R4にはブロックプログラミング式のGUIツールである「Motion Works for VS-WRC058」が付属し、GUIを用いた扱いやすいツールでありながら、条件分岐や変数演算を用いた高度なモーションを作成可能(Motion Works for VS-WRC058はRobovie-R4の上半身にのみ使用可能。台車部分には使用できない)。

Motion Works for VS-WRC058で作成したモーションプログラムは、ファームウェアの形でVS-WRC058に書き込んで動作させる。付属する無線コントローラーであるVS-C3を用いた操縦を行うことも可能。なお、Robovie-R4の上半身を制御するVS-WRC058については、ROS対応のファームウェアとMotion Works for VS-WRC058対応のファームウェアの2種が用意されている。

「Motion Works for VS-WRC058」を付属


本体仕様

構成図
サイズ W500×D500×H1080 (mm)
本体重量 約30kg(ROS PC(UM350)およびVS-WRC054搭載時)
バッテリー 24Vシール鉛バッテリー 288Wh
自由度 13軸(車輪:2 / 腕部:4軸×2 / 頭部:3軸)
モーター BLDCモーター 40W×2 / DCモーター×11
エンコーダー インクリメンタルエンコーダー×13
最高速度(実測値) 1.6m/s
乗り越え可能段差高 1.2cm(同社内での試験による参考値)
制御基板 VS-WRC058×2
入出力 スピーカー×1 / LED(目:2)
SDK(上半身) VS-WRC058用 ESP-IDFファームウェア(ROS対応ファームウェアのみ)、ROSパッケージ
SDK(台車) VS-WRC058用 Arduinoライブラリー、ROSパッケージ
収録サンプル 上半身:ESP-IDFファームウェア(ROS対応ファームウェアのみ)

下半身:Arduinoライブラリー
車輪制御 / エンコーダー読み取り / 各種通信機能等

【ROS用サンプルコード】
ゲームパッドからの操作
マウス(タッチパッド)からの操作
MoveItからの操作

(※)同製品に含まれないライブラリーなどのセットアップが追加で必要になる場合がある。

インターフェース USBシリアル、Wi-Fi
付属品 VS-C3×2、充電器
注文時オプション 拡張機器用電源基板 VS-WRC054、ROS PC(UM350)

(※)同製品は屋内専用。屋外での使用は想定しておりません。また、製品の仕様は予告なく変更となる場合がある。
(※)VS-WRC058をArduino IDEを用いてプログラミングする場合、Arduino IDE 1.8.13以上が動作する環境が必要。


販売について

Robovie-R4は受注生産品。ヴイストン株式会社の公式Webショップにて注文を受け付けている。

・Robovie-R4(ベース価格)
4,950,000円(10%消費税込み)

・拡張機器用電源基板オプション VS-WRC054 / 1式:44,000円(10%消費税込み)
 Raspberry Pi 4BやROS PC(UM350)オプションなどの拡張機器を搭載した際に本体のバッテリーから電源を供給する本体注文時の有償オプション。Raspberry Pi 4Bオプション搭載時およびROS PC(UM350)オプション搭載時には必須となる。

・ROS PC(UM350)オプション / 1式:253,000円(10%消費税込み)
 Robovie-R4に、ROSで制御するための環境構築済みPCを取り付ける、本体注文時の有償オプション。
拡張機器用電源基板オプション VS-WRC054が別途必要。

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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