ヒューマノイドをどう使う? 米RENATUS、ピッキングロボットやヒューマノイドを導入する無人倉庫をテキサスとカリフォルニアに建設へ

米サンフランシスコのRENATUS ROBOTICS Inc.(レナトスロボティクス:日本法人は東京都文京区)は、テキサス州とカリフォルニア州において無人倉庫を建設する計画を発表した。

建設予定の「RoboHouse Dallas」と「RoboHouse Los Angeles」では自社開発の自動倉庫システム「RENATUS」をはじめとする複数の自動化設備を用いた半無人ディストリビューションセンターを建設。アメリカ国内のEC発送センターとして3PLサービスを提供する予定。
同社は今年2月にヒューマノイド開発を発表していて、倉庫や工場における「入荷作業」「出荷作業」および「場内での物資運搬」を包括的に担うという。ヒューマノイドは新設するこれらの工場にも導入予定であることから、残存している「人による作業」のほとんどをヒューマノイドがカバーすることで完全無人化を視野に入れていると推測できる。



自動化・無人化に特化した倉庫の建設と運用

アメリカの物流業界は、慢性的な人手不足、高騰する人件費、そしてオペレーション品質確保の難航など、多くの課題を抱えている。

このような環境下で、RENATUS ROBOTICSは倉庫自動化ソリューションの開発を積極的に推進し、これら物流業界が直面する課題の解決を目指してきた。

同社はこの取り組みの一環として、自動化・無人化に特化した倉庫の建設と運用を通じ、物流オペレーションの効率化、コスト削減、サービス品質の向上を同時に実現することが可能であると判断した。


ピッキングロボットやヒューマノイドを導入

RENATUS ROBOTICSが展開する発送センター「RoboHouse」は、自社開発の自動倉庫システム『RENATUS』を軸に、ピッキングロボット『ADAM』や、現在開発を進めているヒューマノイドロボット『TOMODACHI (仮)』など、最先端の自動化設備を導入する予定。


これらの無人技術を活用することで、人によるオペレーションと比較して人件費を1/30以下に圧縮し、3PLサービス価格を業界平均より10%以上低く抑える計画。


ヒューマノイド導入で作業の完全無人化の達成を目指す

RENATUS ROBOTICSは、これまで統合型メガ自動倉庫『RENATUS』およびピッキングロボット『ADAM』を開発してきた(関連記事「イー・ロジットとRENATUS ROBOTICS、ロボット自動倉庫「RENATUS」1号案件を稼働開始(森山和道)」)。さらに同社は、汎用ヒューマノイドロボット『TOMODACHI(仮名)』の開発を開始したことを2025年2月に発表している。「TOMODACHI」は倉庫や工場における「入荷作業」「出荷作業」および「場内での物資運搬」を包括的に担うこととなる。

統合型メガ自動倉庫システムは既に、EC出荷倉庫の全作業量のうち60~65%を自動化することに成功しているという。ただ、残りの作業である「入荷作業」「出荷作業」「場内での物資運搬」は今だに人による作業に依存していた。
「TOMODACHI」はこれらの残された35~40%の作業を担い、RENATUSと組み合わせて倉庫作業の完全無人化を実現する計画だ。

また、TOMODACHIが取り組むこれらの作業は倉庫内にとどまらず、大規模な製造工場においても全作業のうち50~60%を占める。TOMODACHIはこれらの作業を全て無人化できるとしている。

RoboHouseの初号拠点は2026年中の稼働開始を目指し、現在準備が進められている。同施設は特にEC事業者を対象に、発送代行などの物流アウトソーシングサービスを提供する。

RENATUS ROBOTICSでは、アメリカ国内向けに発送をするRoboHouseのユーザ企業を募集している。


今後の展望

RENATUS ROBOTICSは、テキサス州とカリフォルニア州を皮切りに、RoboHouse拠点をさらに増やし、北米全域における無人倉庫ネットワークの構築を目指す。

これにより、消費者がより安く、迅速に、かつ安定した品質でEC商品を受け取れる社会を実現することを目標としている。

また同社は、他の物流企業にもこの自動化・無人倉庫技術を展開し、物流業界全体の発展・革新に貢献していくことを視野に入れている。

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ロボスタ編集部

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