NECがPLMソフトウェア「Obbligato」に生成AI連携機能を搭載 来年4月より提供開始
NECは、図面・仕様書・部品表などの製品技術情報を一元管理するPLMソフトウェア「Obbligato」に生成AIとの連携機能を搭載した「Obbligato R3.6」を2025年4月より提供を開始する。
Obbligato R3.6では、PLMソフトウェアと生成AIとの連携により、生成AIが過去の製品開発を通じて蓄積された大量の技術情報から適切な情報を効率的かつ高精度に検索・提供。これにより、開発・設計に係る業務の効率化と技術伝承の円滑化を推進する。さらに、製造業DXに向けて、ものづくりの基準情報(製品構成表BOMや工程表BOP)を部門横断で共有・活用するPLM戦略が企業にとって重要になっており、その核となるマルチCAD管理や統合BOM機能を強化し、企業競争力の向上に貢献するとしている。
背景
製造業を巡っては、原材料価格やエネルギー価格の高騰、部材不足や物流の混乱によるサプライチェーンの寸断のリスクなど、取り巻く環境が激しく変化している。このような環境変化に対応して競争を勝ち抜くためには、設計や生産、保守、調達、販売などのエンジニアリングチェーンおよびサプライチェーンをデジタルで繋ぎ、ものづくりを高度化することで新たな価値を創出していくことが求められている。さらには、労働力不足の深刻化により、デジタルを活用して熟練技術者のノウハウ伝承を進めていくことが喫緊の課題となっている。
NECは、製品情報共有基盤PLM「Obbligato」と生成AIの連携により、まるで若手が熟練者に相談するように、人とAIが対話しながら膨大なデータから適切な情報を効率的に見出すことで、技術伝承を促進する。また、3DCADデータ管理や、統合BOM機能の更なる強化により、環境変化に迅速・柔軟に対応できるものづくりの現場力の向上に貢献するとしている。
Obbligato R3.6の機能強化ポイント
1:生成AI連携により技術ドキュメントを効率的・高精度に検索
ObbligatoとLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)の連携により、過去の製品開発を通じて蓄積された技術ドキュメントをLLMが効率的かつ高精度に検索し、設計者の質問に的確な回答を提示する。AIが人の相談相手となり、対話形式で曖昧な情報から適切な情報に辿り着き、設計業務における必要な情報の探索時間を大幅に短縮し、本来の設計業務や設計検討に時間を使うことが可能となる。また、連携するLLMは、高速で高い日本語性能を有するNEC開発のLLM「cotomi」と、Microsoft Azure OpenAI Serviceの「GPT」モデルから選択が可能。
必要文書検索の例:
・製品設計時に考慮すべき事項をAIに問い合わせると、AIが過去製品の設計書を元に、考慮事項を列挙。
・実施したい試験を行うための装置の利用方法をAIに問い合わせると、AIが装置マニュアルから必要箇所を抽出して提示する。
2:3Dデータ管理のマルチCADおよび3Dビューに対応
3DCADデータ管理については、設計者の利便性と、全社レベルでのデータ利活用や運用面の効率化という観点から、設計中のデータはCADデータ管理用PDM、全社で共有すべき情報は全社PLM「Obbligato」に分けて管理し、PDMとObbligatoを連携した運用を推奨している。
今回、CAD用PDM連携コネクターとして標準サポートしているSOLIDWORKS PDMに加えて、PLMジャパン社の「PLMconsole xCAD(以下、xCAD)」を標準サポート。
マルチCADデータPDM「xCAD」は、CATIA V5、NX、Creo Parametric、SOLIDWORKS、Autodesk Inventor / AutoCAD、iCAD SXに対応し、マルチCADデータ管理が可能です。「xCAD」と「Obbligato」の連携により、CAD~PLM~関連システムを連携することで、エンジニアリングチェーンの分断で起きていたタイムロスや伝達ミスを削減し、製品のタイムリーな市場投入を実現する。
さらに、3Dデータ活用の支援機能として、BOMと3D Viewを連動して双方向のハイライト表示が可能になる。これにより3Dイメージの閲覧性を向上し、設計部門の他、生産技術や製造などものづくりに関わるあらゆる部門の業務効率化や品質向上に大きく寄与する。
また、複数の3DCADの管理やBOMと3Dモデルとを連動したビューイング機能により、取引先OEMメーカー毎に異なるCADを扱う自動車部品業などでの利用を促進する。
3:統合BOMの更なる機能強化による生産性の向上
設計BOMと生産BOMでは構造が異なり、設計変更時に製造側での生産BOMへの変更の適用やBOMのメンテナンスは、手間が多く、ミスが起きやすいという課題がある。設計変更の生産BOM自動反映機能により、設計部門での設計BOMの変更を、製造部門が作成する生産BOMに対して、品目情報および構成情報の変更が自動反映されるようになる。また、変更情報適用時の生産BOMの状態によっては、品目情報のみを自動反映し、それ以外はアラート表示させるなど、複雑な運用を考慮している。
本機能は、「Obbligato」の統合BOM機能(用途別BOMの統合管理)を活用している様々な顧客の導入ノウハウから標準機能としてリリースする。BOM自動反映による設計部門と生産部門の連携効率化および品質向上を実現する。
販売価格、提供開始時期、販売目標
製品名 | 生成AI連携オプション |
---|---|
月額利用料(税別) | 10万円/月~ |
提供開始時期 | 2025年4月 |
販売目標 | 今後3年間で100社 |
※生成AI連携オプションは、トークン数に応じて月額利用料が変更となります。
※xCAD連携は、xCADの購入が必要となります。
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