東レとNEC、PLMソフトウェア「Obbligato」と生成AIを活用 設計の高度化を目指す実証を開始

東レエンジニアリングとNECは、設計業務に係る上流工程の作業効率化と技術伝承の促進を目指し、NECのPLMソフトウェア「Obbligato」と生成AIを用いた実証を2024年8月より開始する。

生成AIが過去の製品開発を通じて蓄積された技術情報を効率的かつ高精度に検索・要約し、設計者の質問に的確な回答を提示する。これにより、設計開発に係る技術伝承を促進するとともに、フロントローディングによる上流設計の最適化を図る。

本実証の背景

人手不足が日本経済全体の成長の足かせとなる中、製造業ではAIやロボットなどのデジタル技術を活用した省人化・高度化に向けた取り組みがすすめられている。また、高度な技術を持つ人材の高齢化の進行に加えて、そうした技術を伝承する人材も減少しているため、高い専門技能やノウハウの伝承が課題になっている。

具体的には、設計の上流工程では、過去の製品開発におけるアイデアや設計文書などの情報の検索・活用するプロセスや、日本のものづくりが強みとしてきたすり合わせによる価値創出についても、経験豊富な技術者のノウハウが不可欠となる。

実証の概要

こうした課題の解決に向けて、東レエンジニアリングとNECは技術伝承の促進および設計業務の高度化を目指して、生成AIを用いた実証を行う。

具体的には、東レエンジニアリングで既に導入しているNECのPLMソフトウェア「Obbligato」と、LLM(大規模言語モデル)を連携させ、Obbligatoが選択したドキュメントに登録されているファイルをLLMを用いて要約するとともに、技術情報に関する質問に対しLLMが過去の製品開発で蓄積された情報をもとにチャット形式で回答する。

東レエンジニアリングは、プラントエンジニアリングから半導体製造・検査装置に及ぶ幅広い事業を展開しており、多様な設計業務を有している。NECのPLMソフトウェア「Obbligato」とLLMを活用して、各分野における設計業務の更なる効率化および精度と速度の向上について有効性を検証していく。

期間 2024年8月より開始
実施内容(予定) ・ドキュメントの要約
Obbligatoで管理しているドキュメントを選択するとドキュメントに登録された複数ファイルの内容をまとめた要約を表示します。ファイルを開かず即座に概要を確認できる。

・技術情報の問い合わせ
Obbligatoで管理している技術情報に関して質問すると、蓄積された過去の情報をもとにLLMがチャット形式で回答します。元情報の参照・確認も可能。



今後について

東レエンジニアリングは、今回の実証を通してObbligatoとLLM連携の機能性向上に貢献するとともに、今後も技術の維持と一層の高度化を推進し、社会課題の解決につながるプラントや装置の開発・展開を強化していく。
NECは価値提供モデル「BluStellar」のもと、最先端テクノロジーによりビジネスモデルを変革し、社会課題とお客様の経営課題を解決に導きます。ObbligatoのLLM活用における実証を拡大し、LLM活用を搭載したObbligatoの新バージョンを2025年春に提供開始する予定としている。

両社は今後も共創活動を推進し、Obbligatoや製品開発プロセスに生成AIを活用していくことで、設計の高度化と製造業DXを目指す。

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ロボスタ編集部

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