
ABBは、メルセデス・ベンツのジンデルフィンゲン工場で、同社のPixelPaint技術が採用されていることを発表した。PixelPaintは精度が高いので、無数のロゴをボンネットに正確に塗装することができ、オーバースプレーをなくすことで塗料使用量とCO2排出量を削減したという。
メルセデス・マイバッハ「SL680」モノグラムシリーズは、PixelPaintによって個性的で特別仕様の塗装を実現しているとして、ロボットが作業している動画を公開した。
ABBのPixelPaint技術は従来の塗装工程を補完し、複雑な塗装デザインを正確かつ効率的に塗装することができる。この持続可能かつ省資源な技術は、高級車メーカーが最高級モデル向けに新しいオプションを提供することに伴い、2025年に稼働を開始した。
■PixelPaint personalized patterns for Mercedes Maybach
動画でのインタビューでは、主に次のように語られている。
「メルセデス・ベンツは、ABBの革新的な「ピクセルペイント」技術を導入し、塗装の個別対応(カスタマイズ)と高精度化を実現している。独シンデルフィンゲン工場では、ピクセルペイントによって従来では困難だった複雑なデザインを数秒で正確に描くことが可能となり、顧客の多様なニーズに応える新たな塗装のレベルに到達した。プロセスは完全に自動化され、塗料を100%車両に直接塗布するため、環境負荷も大幅に軽減される(無駄がない)。メルセデス・ベンツはこの技術を最上位モデルに採用し、デザインと持続可能性を両立した独自価値を打ち出している」
独立して制御される1000個以上の小さなノズルを備えた塗装ヘッド
PixelPaintは、「IRB 5500」などのABBの塗装ロボットと、独立して制御される1000個以上の小さなノズルを備えた塗装ヘッドで構成されているという。ABBの3Dビジョンシステムと組み合わせ、ABBのシミュレーション及びプログラミングソフトウェアの「RobotStudio」によって調整されたヘッドは、車体に非常に近い位置で追従し、インクジェットプリンタのようにデザインを描くことができる。また、オーバースプレーや空気中のミストを発生させることなく塗料を100%、均一に車体へ塗布できる。
作業の無駄の削減、マスキングや繰り返しが不要に
これにより、手間のかかるマスキングや塗装工場での繰り返し塗る作業が不要になり、廃棄物ゼロ、環境処理要件の削減、全体的な温室効果ガスの排出量削減を実現しているという。
メルセデス・ベンツは「メルセデス・マイバッハ SL680 モノグラムシリーズ」向けにPixelPaintを採用した。このモデルどは、独自性をさらに高めるため、グラファイトグレーとのコントラストで複雑なマイバッハパターンを施したオブシディアンブラックのボンネットをオプションで用意している。この複雑なデザインは、PixelPaintの採用によって実現できたもので、従来のプロセスでは実現不可能だったとしている。
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