NTTがIOWN APNと無線システムをリアルタイムに連携制御、サーバ上でのロボット遠隔自動制御を実証

NTTは、IOWN APN(All-Photonics Network)の様々な無線システムへの適用実現に向け、IOWN APNと無線システムを無線の利用状況に応じてリアルタイムに連携制御する実証実験を行った。

実証実験では、IOWN Global Forumにおいて検討中の拡張連携インターフェース(Extended Cooperative Transport Interface/eCTI)を初めて採用し、マルチ無線プロアクティブ制御技術(Cradio)と、低遅延FDNを連携。これにより無線利用状況に応じてIOWN APNの光パスをリアルタイムに切り替え、無線(Wi-Fi)~光(APN)区間で、”つながり続けるネットワーク”の提供が可能となることを確認した。

背景

労働人口の減少を背景に、製造業におけるDXが急速に拡大している。

具体的には、工場内の各プロセスにおける機器の稼働状況などのデータをリアルタイムに収集・分析することで、最適化、効率化を図る対策はもちろんのこと、最近ではロボット導入による効率化・人手不足の解消の動きが活発化している。こうしたDXを支えるネットワーク環境としては、無線・有線問わず、大容量・低遅延な性能に加え、サービスを途絶えなさせない信頼性が重要となる。特に無線ネットワークにおいては、工場内での利用が想定される無線LANやローカル5Gなどの自営無線アクセス環境での対応が重要となる。

また、DX導入に向け課題となるのが消費電力とコストだ。ネットワークの観点では、ネットワーク回線数が増えるほど消費電力・コストも増大する。そのため、工場のDXの普及拡大に向けては、ネットワークの性能・信頼性を担保しつつ、ネットワーク回線の効率的な利用が課題となっていた。

実証実験の概要


工場内無線環境を想定したWi-FiアクセスポイントとIOWN APN回線を接続し、Wi-Fiアクセスポイント配下の無線端末とクラウドサーバ間で通信する環境を構築し、無線利用状況を把握するCradio機能を実装した無線コントローラと、IOWN APN回線のリアルタイム切り替えを行う光コントローラを、eCTIを介して連携させることで、以下の2つの実証実験を行った。

1:ユーザ指示に基づく、用途に応じた無線+光連携実証

工場において、各プロセスのビッグデータ収集作業から遠隔ロボット操作作業への切り替えを想定し、それぞれの作業における性能要件に合わせ、使用するWi-Fiアクセスポイントと接続先クラウドサーバへの光パスを同時に切り替える実験を行い、連携動作が完了することを実証した。

2:無線利用状況に基づく、接続ユーザ端末数に応じた無線+光連携実証

工場において、接続されるユーザ端末数を検知し、その情報に基づき自動で接続先クラウドサーバへの光パスを切り替える実験を行い、100ms程度で連携動作が完了することを実証した。

技術のポイント



無線区間の電波変動把握技術、および外部システムとの協調制御(Cradio)

端末近辺の無線フレームを常時収集する収集BOXにて、精緻な無線環境情報を取得することで、無線区間の電波変動を把握する技術。これにより特定のAP(アクセスポイント)に帰属する接続端末数の変化を観測し、その変動をきっかけとして、協調制御機能部へ通知(もしくはユーザ指示に基づき、協調制御機能部へ通知)。協調制御機能部は、外部システムである低遅延FDNの制御機能部に対し、連携制御を実現した。

光無線連携制御技術

Cradioと低遅延FDNの制御機能部間で、eCTIを介して無線区間の電波状況や接続端末数、用途変更などの情報をやりとりし、無線+光区間のリアルタイム制御を実現した。

NWコンピュート連携技術

光ネットワークの伝送時間とエッジサーバ上のアプリケーションの処理時間をトータルで監視し、サービスが持続可能なようネットワーク経路および使用するエッジサーバをリアルタイムに同時に切り替える技術。本実証では、光ネットワークとしてIOWN APNを適用し、光スイッチの高速切り替えを実現した。

今後の展開

本技術はWi-Fiやローカル5Gなどの自営系無線に加え、Beyond5G/6Gなどのセルラ系システムにも応用が可能であり、今後は、様々な無線システムとIOWN APNの連携動作、各種利用シーンを想定した実証実験を進め、IOWN APNと自営系無線を組み合わせたトータルネットワークソリューションビジネスの展開をめざすとしている。

また、2024年度中を目途に、IOWN Global Forumにおいて検討中のエラスティック・ロードバランシング機能に適用し、無線基地局とIOWN APNを連携することで、モバイルシステムの省電力化に向けた実証実験を進めることも明らかにした。

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ロボスタ編集部

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