
カサナレは、茨城県常陸太田市においてマクニカが提供する自動運転EVバス「Navya EVO」の定常運行に、将来の自動運転レベル4無人運行を見据え、RAG技術とマクニカ製遠隔運行管理システム「everfleet」とを連動した「生成AIコンシェルジュ」を共同開発、2025年3月7日〜3月31日まで常陸太田市にて実証実験を実施している。
実証実験の概要
本実証実験では、「じょっピー」の愛称で親しまれている常陸太田市の自動運転レベル4対応の自動運転EVバス「Navya EVO」について、定常運行している2台のうち1台に、カサナレの生成AIコンシェルジュを活用した乗客案内サービスを試験導入する。これにより、乗客に対してリアルタイムの音声案内を提供し、自動運転EVバスと目的地を連動させた利便性の高い移動体験を実現する。また、本実証実験では、MaaSの活用を通じた地域活性化の可能性を検証し、自動運転レベル4の社会実装に向けた取り組みを進めている。
実施日程 | 2025年3月7日~3月31日 |
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対象便 | 北周り全便 (状況により、南回り運行に切り替わる場合あり) | 乗車方法 | 予約なし、無料 |
生成AIコンシェルジュの特徴
カサナレが提供する「生成AIコンシェルジュ」は、生成AIの柔軟なカスタマイズ性を活かし、幅広いユースケースに対応可能な次世代型の対話サービス。RAG技術をはじめとする独自のAIテクノロジーと、マクニカの遠隔運行管理システム「everfleet」との連携により、自動運転における多様な情報案内をリアルタイムかつ自然な対話で提供する。
今回の常陸太田市での実証では、「生成AIコンシェルジュ」をベースとした“生成AI車掌”を搭載。専用開発されたスマートフォンアプリを活用し、乗客がアプリを通じて質問すると、それをきっかけに車内アバターが応答する対話リモコン型のUXを実現した。発話のきっかけはスマホアプリへ投げかけられた質問の応答だけでなく、バス停到着時やドアの開閉時にも自動的に発生し、人がいなくても“案内される安心感”を提供する。
また、アバターはただ対話するだけではなく、表情や挙動が豊かで、車内の空間に溶け込む“存在感”も備えている。音声入力に限定せず、スマホという身近なデバイスをトリガーとして利用できる点は、視覚や聴覚に制限のある方にとっても有効である。
特徴
1:高いカスタマイズ性で、あらゆる業務や場面にフィット
生成AIコンシェルジュは、カサナレ独自のテクノロジーピースを活用し、案内内容・語彙・対話スタイル・キャラクター設計に至るまで、利用シーンに応じた柔軟なカスタマイズが可能。交通、観光、公共施設、企業受付など、さまざまな領域に合わせて“その現場ならでは”の対話体験を実装できる。
2:コンテキストに応じたリアルタイムな応答が可能
RAG技術を組み込むことで、単なる定型応答にとどまらず、外部情報(天気・地図・運行情報など)を参照しながら、文脈に即した自然な応答が可能。ユーザーの質問意図を理解し、適切な情報に即座にアクセスして案内する「動的な対話」が実現される。
3:既存システムやデバイスとの連携がしやすい構造
スマートフォン、タブレット、サイネージなど、既存のデバイスと柔軟に連携でき、多様な実装形式に対応。ハードウェアに依存しないため、施設規模や予算に応じた導入が可能で、UI/UX設計も自由度が高く、視覚・聴覚・触覚の多様なインターフェースに対応可能。
4:デジタルヒューマンとしての「表現力」が高い
アバターは表情・身振り・音声・間合いなど、多様な感覚情報を用いて、まるで人と話しているかのような親しみやすさを実現。性別や表現トーンも柔軟に調整でき、企業や自治体のブランドイメージに沿った“顔”として活躍する。
5:将来の自動化社会に向けた「安心の接点」として
非対面・無人化が進む中でも、人の温もりや案内のわかりやすさを損なわずにユーザーとつながる存在として、生成AIコンシェルジュは今後の社会のインフラ的役割を担う。単なる“機械”ではなく、人の代わりに“迎え入れてくれる存在”として、公共空間や顧客接点を支えていく。
今回の取り組みにおける”生成AI車掌”の導入効果
乗客満足度の向上
RAG技術を活用した案内で、乗客の質問に的確に答え、観光情報や地域情報を提供することで、快適な乗車体験を提供。特に観光客や高齢者など、ニーズに応じた案内により、安心して利用できる環境を整える。
地域経済の活性化
バス内に配置した生成AIコンシェルジュによる地域イベントや観光情報の発信を通じて、地域の魅力を広め、観光促進や地元ビジネスの支援が期待される。地域に密着した情報提供により、地域コミュニティとの連携も強化される。
運行業務の効率化
遠隔運行管理システムeverfleetと連携し、運行状況に応じた柔軟な案内が可能。生成AIコンシェルジュによるバス停の到着案内や、ドア開閉のアナウンスにより、オペレーション業務を効率化し、お客様に安心感を提供する。
安全性と利便性の向上
将来的には車内カメラと連携し、異常検知や緊急時対応の強化が可能。また、対話型コンシェルジュが高齢者や障がい者に対しても安心できる案内を提供し、利用者層の多様化に対応する。
ルート
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