ドコモ/ユカイ/アスラテックら、6G 「AIのためのネットワーク」で3タイプのコンセプトモデルロボットを開発

アスラテック、ピクシーダストテクノロジーズ、ユカイ工学、ドコモの4社は、ドコモが掲げる6Gの価値の一つである「AIのためのネットワーク」の具体化に向け、3タイプのコンセプトモデルのロボットを共同で開発した。

「6G Harmonized Intelligence」プロジェクトの取り組みを通じて開発

制作されたロボットは、ドコモが6Gの意義として定義する5つの価値の一つである「AIのためのネットワーク(人と調和するAI)」の実現に向け、通信業界を越えた専門家や多様な産業パートナーと緊密なコラボレーションを行う「6G Harmonized Intelligence」プロジェクトの取り組みを通じて開発。

「6G Harmonized Intelligence」プロジェクトは、機械・ロボット・AIがその性能を最大限発揮可能なネットワークサービスの実現をめざし、通信業界を越えた専門家や多様な産業パートナーと緊密なコラボレーションを行うもので、「AIのためのネットワーク」を6Gで実現するためのユースケース・技術検討を進めている。

開発されたロボットは、高速大容量通信やカバレッジ拡張、サステナビリティなどの6Gの特徴を活かしつつ、人の知能を超える能力を持つ超知能ASI(Artificial Super Intelligence)を活用した大容量通信や、AIやロボット向けのサービスなど、2030年代に想定される6Gの多様なユースケースを見据え、本プロジェクトを通じてデバイス、UI/UXなどさまざまな検証や検討を進めていく。

開発されたロボットについて

共同で開発されたロボットはそれぞれの特徴を備えた3タイプ。アスラテックのロボットの知見を活かして開発した機能削減・拡張性のあるセンサレスロボット「ハーモナイズドセンサレスロボット」、ピクシーダストテクノロジーズのAIの知見を活かして開発した超知能AI時代の人とAI・ロボットのインタラクション「コンポーザーとグルーバー」、ユカイ工学の生活に溶け込むロボットの知見を活かして開発した自律共生ロボット「DENDEN」の3タイプのコンセプトモデルのロボットを開発した。

なお、ドコモはこれらの3タイプのコンセプトロボットの開発において、6Gの価値や特徴に対応すべく、次世代ネットワークに関するユースケース、要求条件に関する研究開発を担うとしている。

「AIのためのネットワーク」に向けた試作概要

1.センサレスロボット「ハーモナイズドセンサレスロボット」(アスラテック)


アスラテックとドコモの共同開発物。従来のロボットに実装・搭載されているセンサやカメラをなくし、外部センサ、カメラを活用して制御されるロボット。

高速大容量、高信頼低遅延通信の実現をめざす6Gを活用することにより、ロボット外部にあるカメラやセンサとロボットをつなげることが可能となり、ロボットのシンプル化・低コスト化と、柔軟な機能追加の実現をめざしている。

「ハーモナイズドセンサレスロボット」は、横須賀市様のご協力のもと、横須賀市のマスコットキャラクター「スカリン」(https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/2150/sukarin.html)を模擬したバルーン型センサレスロボットを開発している。

2.超知能AI(ASI)時代の人とAI/ロボットのインタラクション「コンポーザーとグルーバー」(ピクシーダストテクノロジーズ)


ピクシーダストテクノロジーズ、筑波大学デジタルネイチャーグループとドコモにより共同開発した超知能AI時代の人間とAI、ロボットのインタラクションを想定したロボット。

高速大容量、高信頼低遅延、多接続通信をめざす6Gを活用することによって、世界中のあらゆるものや人が常時ネットワークにつながり、AIやロボットはそこから得られる膨大なデータをもとにリアルタイムで学習・推論処理を行うことが可能になる。こうしたAIやロボットと人が協働するための最適なインターフェースの実現をめざしている。

コンポーザーとグルーバー」で使用したAI基盤は、株式会社NTTPCコミュニケーションズが推進する「Innovation LAB」プログラム(https://www.nttpc.co.jp/innovationlab/)を通じて提供されている。

3.自律共生ロボット「DENDEN」(ユカイ工学)


ユカイ工学とドコモにより共同開発。都市部の公園や人のいない、少ない山間部をふくめより広域エリアにおいて自律的に生息し、人の生態系と共存するロボット。

カバレッジ拡張、低消費電力、多接続、高信頼通信をめざす6Gを活用することにより、人との自然なインタラクションや自律的に動作・制御可能なロボットの実現をめざしている。

次世代の移動通信システム「6G」の意義

概要

ドコモは、2030年頃のサービス実現をめざす6Gにおいて、期待されるさまざまなユースケース、目標性能、要素技術などの研究開発を推進している。

2020年1月には、2030年社会や6G要素技術をまとめた「ドコモ6Gホワイトペーパー」を公開。その後、国内外の通信事業者、ベンダーと協力した実証実験や、標準化を含めた6G研究開発を推進している。本研究開発の一環で、ドコモでは6Gを推進する意義を5つの価値の側面から定義した。

5つの価値


ドコモが定義する6Gの価値は、「サステナビリティ」、「効率化」、「顧客体験」、「AIのためのネットワーク」、「コネクティビティエブリフェア」の5つ。

「サステナビリティ」では、カーボンニュートラルの目標達成に向けたネットワークの環境負荷低減を実現するために、IOWN※4の光電融合技術の適用やネットワーク制御へのAI適用など、様々な技術の組合せで総合的に低消費電力化を含めたサステナビリティの実現をめざしている。

「効率化」では、システムのシンプル化をふくむコスト効率性・運用効率性を高める検討や、周波数帯域の効果的、効率的な活用方法の検討をめざしており、「顧客体験」では、感覚の伝達の新たなコミュニケーションや、セルラーネットワークにおける測位・センシング、障害に強いネットワークの提供など、6Gならではの顧客体験を向上させる取組みや顧客がワクワクを体感できるようなサービスの実現をめざしている。

「AIのためのネットワーク」では、人とAI、ロボットが調和する未来社会をみすえ、機械・ロボット・AIがその性能を最大限発揮可能なネットワークサービスの実現をめざしている。

「コネクティビティエブリフェア」では、衛星通信やHAPSなどの非地上系ネットワークと地上系ネットワークを活用するなどして、どこでもつながるネットワークをめざしている。

「6G Harmonized Intelligence」プロジェクトとは

概要

「6G Harmonized Intelligence」プロジェクトは、ドコモが掲げる6Gの価値の一つ「AIのためのネットワーク」の具体化に向けた第一歩として、通信業界を超えたエキスパートやパートナーとの緊密なコラボレーションにより、6Gを実現する上でのユースケース・技術検討を進めている。

本プロジェクトの目的・目標

「AIのためのネットワーク」では機械・ロボット・AIがその性能を最大限発揮可能なネットワークサービスの実現に向け、通信業界を越えたAIやロボットを含むエキスパートや多様なパートナーと緊密なコラボレーションを行う本プロジェクトを立ち上げ、6Gを実現する上での新たな世界観やコンセプト、ユースケース、サービスを見出すことをめざしている。

2024年から、2030年を見据えた未来社会や6G、AI、ロボットを含めた対談を複数回行っている。「6G Harmonized Intelligence」プロジェクトでは、デバイス、ネットワーク、UI・UXの各分野においても革新的な取組みを進めており、次世代の通信技術がどのような形で社会に貢献できるかの検討と研究開発もあわせて進めている。

「6G Harmonized Intelligence」プロジェクトメンバーと今後の予定

現在、「6G Harmonized Intelligence」プロジェクトでは、アステラック、PxDT、ユカイ工学、ドコモの4社で検討を進めている。

今後、「6G Harmonized Intelligence」プロジェクトではさまざまなユースケースの創出や検証を行うとともにエキスパート、連携パートナーの拡大をめざしており、「AIのためのネットワーク」をより具体化、詳細化し、さらなる技術要件検討とロボットの機能拡張を含めた試作開発を検討していくとしている。

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ロボスタ編集部

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